2007年度第1回(2007年6月10日実施)

全体的な問題傾向・難易度・合格ライン予想は?
今回の試験は直近の試験と比べても、出題傾向・難易度ともに大きな変化は見られませんでした。従って、合格最低点は前回の80点からそれほど前後するようなことはないと考えられます。
そこで、下記大問ごとの分析の結果、2007年度第1回英検1級1次試験の合格最低点は81点前後(113点満点)と予想いたします。
大問ごとの分析
[1]単語問題
出題された語彙、特に正解の語彙は、英字新聞や雑誌に登場するものばかりで、大変実用的な問題であったと思います。
正解の選択肢だけを見ても、(1) arbitrary、(2) waning、(3) marginally、(4) mutter、(5) meager、(7) conjecture、(9) rife、(11) savor、(12) circumvent、(13) haven、(15) havoc、(17) coerce、(19) disparity、(20) footage、(21) lucrative などは、頻出する時事用語としても、英検1級受験者には、確実に知っておいていただきたい必須語彙でしょう。
★目標得点:20点(満点25点)
[2]長文空所補充問題
一つ目の "Countering Counterfeiting" は経済分野の話題で、文字通り「通貨(紙幣)偽造との戦い」がテーマです。
「かつて通貨偽造は、専門の技術者を使う大規模な組織による犯罪行為だったが、パソコンやコピー機の性能が向上するにつれ、急激に一般人による通貨(紙幣)偽造が増加してきた。偽造が難しい紙幣の開発が功を奏して、一般人の紙幣偽造犯罪はほぼ収束したが、一方で、高度の技術力を持つ大組織による偽造行為が再び増え始めている」という内容です。
(28)は選択肢1の fail-safe という言葉で迷われたかも知れません。fail-safe は「絶対安全な」という意味ですが、(28)の後ろの部分を読めば他の選択肢を排除できますので、正解を特定することができます。
二つ目の "A Fresh Look at Licensing" は社会・文化分野の話題で、職業免許制度についての考察がテーマです。「職業免許とは、政府あるいは組織・団体によって発行される、一定の職業や専門家としての資格を認めるという証明書であるが、真の目的は、同業者による競争を減らし、後発の企業の成長を妨げるということにある。免許発行のための資格試験も、当該の職業や専門技術に必要とされる観点から適切かどうかは疑問」という内容です。
いずれの設問もカッコの前後の文脈から推測すれば、確実に正解を選ぶことができるでしょう。
★目標得点:4点(満点6点)
[3]長文読解内容一致問題
一問目は自然科学の分野で、"A Barcode for All Life"というタイトルです。このタイトルだけからもある程度内容が推測できると思います。本文の文頭にいきなり見慣れない単語 "Taxonomy" が出て来て戸惑うかも知れませんが、同じ文章のすぐ後に "the name given to the discipline of classifying biological organisms" とありますし、「分類法」とすぐには思い当たらなくて "taxonomy" そのままで先に読み進めても、正解を選ぶ際の大きな障害にはならないでしょう。
(34)選択肢3の "skills of classification using older methods" がまさしく"taxonomy" のことです。また、本文最後の "becoming an endangered species" という部分が、この問題の正解の決め手になっています。
二問目は文化論です。"Leveling the Linguistic Playing Field" というタイトルで、「南アフリカは少数独裁主義から脱して、多様な民族と言語を同じように尊重する独自の文化を持つ国家としての道を歩み始めたが、ビジネスや教育の現場では、世界共通言語である英語を使えることの有利さが浮上してきた」という内容です。日本でも英語の重要性はたびたび話題に上りますので、比較的内容理解が容易な問題だったと思われます。この問題は、全問正解も可能でしょう。
三問目は "A Prescription for Disaster"、医療・科学分野からの出題です。「TGN1412という試薬を摂取した実験ボランティアが、次々に重症の体調不良に陥った。通常は最初の摂取から数時間を空けて、被験者の反応を見ながら次の摂取をさせるが、TGN1412の実験では、数分おきに何回も摂取させたことが体調不良の原因と考えられる。この実験ではボランティアに対して一定額の報酬が支払われたが、専門家からは報酬を与えることに対する異議や、報酬額についての意見が出されている。TGN1412の事件は、製薬会社が新薬開発の経費を抑えるために、短期間で新薬開発を急ぐという問題を明らかにした」という内容です。本文のパラグラフごとに、書かれている内容をまとめながら読み進むと、各選択肢の正否の判断が付けやすかったでしょう。
★目標得点:14〜16点(満点20点)
[4]英論文(エッセイ)問題(200 words)
TOPICは "Has modern society become too dependent on technology?"でした。
TOPICが疑問形ですので、Introduction で Yes か No をはっきり呈示し、Body でその根拠を述べていく必要があります。英検の英論文では、一方の意見が正しくて他方が間違い、という判断は一切なされません。一つの主張をいかに logical に伝えられるかが得点に大きなウェイトを占めます。どちらの意見でも、ご自身が「書き易い」方の意見を、分かりやすく書いてあれば、目標得点は確保できるでしょう。
ふだん日常生活を送る上で感じる、技術(家庭用電気器具、交通手段、情報手段 etc)の便利な点と不便な点を具体例として挙げることで、意見の裏付けが可能です。
今回は、比較的内容をまとめやすい問題だったと思われます。
★目標得点:20点(満点28点)
[5]リスニング
全体的には、clear に発音されていて聴き取りやすかったと思います。ただ、Part 3 は留守番電話のメッセージが3問あり、特に (J) は口ごもった口調が混じっていて、聴き取りにくさを感じたかもしれません。
- Part1:Dialogue
特別に長い会話もなく発音も明瞭で、全体的には聴き取りやすい問題ばかりです。「3人の会話」は No.10 に出題されています。今回は、女性が2人、男性1人の会話ですが、女性2人の声の特徴がはっきりしていますので、混乱なくストーリーを追う事ができるでしょう。
★目標得点:6〜8点(満点10点)
- Part2: Passage
5題とも narration ははっきりしていて、スピードもさほど速くなく聴き取りやすく、設問も素直に作られていました。
(A) は、 "Chernobyl" と "Ukraine"の発音に馴染みがないと一瞬うろたえますが、日本ではそれぞれ、チェルノブイリ、ウクライナと呼んでいることは、"nuclear accident" が出てきたあたりで判断がつくでしょう。
(B) の "palate" は「味覚」という意味です。Robert Parker, Jr. は天性の味覚と歯に衣着せぬ解説によって、ワイン業界に新風を巻き起こしている、という内容です。
(C)は 経済分野の話題です。Key word の "long-tail marketing" の意味を把握し、経済界の常識が、インターネットを利用する新しいマーケティング戦略によってどう変化したかを聴き取ってください。
(D)は、 登場人物に注意して、誰が何をしたかを正確におさえていく必要があります。 "Ilena Rosenthal" は、他の誰かの手で書かれた手紙をインターネットのサイトに掲示した人、"a certain doctor" は Rosenthal を defamation(名誉毀損)で訴えた人で、"the California Supreme Court" は彼の訴えを却下した、という状況設定でした。 却下の理由は、インターネット利用者は、他人によって名誉を毀損するようなコメントを書かれたとしても、むやみに訴えることはできないという1996年の法律に基づいたものです。しかし同時に、この判決では、被害者保護を考慮せずに名誉毀損を奨励することに繋がることに懸念を表明する旨の但し書きが付記されました。この裁判の行方に注目していたのが、"free-speech groups" でした。
(E)は、 大方の予想とは異なって熱帯雨林の面積が増加している、という内容です。複雑な展開はないので、興味を持って聴くことができれば設問には容易に答えることができたでしょう。
★目標得点:6点(満点10点)
- Part3:Real Life Situation
他の英語試験では見られない、英検独特の問題です。今回は、(F)、(H)、(J) が留守番電話のメッセージ、(G) はセミナーでの説明、(I) はラジオの案内、と Real-Life Situation らしい設定です。
(F) スポーツクラブのメンバーシップの種類を選ぶ問題です。4つの選択肢はそれぞれ、Type W, Type Z, Type N, Type S ですが、narration でまず聴こえてくるのは Type F です。焦らずに落ち着いて聴いていく必要があります。
(G) 娘にふさわしい私立学校を選ぶ問題です。選択肢には、学校名が見慣れない固有名詞で書かれているので、その脇にメモを取りながら聴いていくと、正解選びが容易になります。
(H) 簡単な暗算が必要で、比較的難易度の高い問題です。Situation にある予算額 ($100) とカレンダーの作成予定数 (a dozen=12) を充たす条件を念頭に置いた上で、写真の仕上げ方法2種類 (glossyとmatte)を区別して計算を行なう必要があります。
(I) ラジオでの劇場チケット販売の案内という設定で、やや早口で特徴あるしゃべりですが、Question が単純なので、それほど迷わずに正解を選ぶことができるでしょう。
(J) 家の留守番電話に残されたメッセージを聴く問題です。同じ留守番電話でも、 (F)と(H) が録音されたメッセージであるのとは異なり、困った状況にある人が依頼の伝言を入れている、という自然さ、言い換えると聴き取りにくさがあります。声が小さかったり早口だったり口ごもったりしていますが、話し手の言いたいこと、意図をつかむように注意して聴けば大丈夫です。
★目標得点:8点(満点10点)
- Part4:Interview
今回の interviewee は "writer for a popular travel guide" で、聴き取りやすい発音と声ですので、内容の理解はそれほど難しくないでしょう。 (26) は、interviewee が travel guide として情報収集をする際の困難な点を指摘する問題、(27) は、interviewee が進めている、ロボットに関する本の取材の上で、旅行のガイドブックを書く際の取材と異なる点は何か、という問題です。ともに確実に正解を選んでいただきたい問題です。
★目標得点:4点(満点4点)
以上、リスニング試験部分は、Part 1: 6〜8点、Part 2: 6点、Part 3: 8点、Part 4: 4点で、合計で24〜26点はとっていただきたいです。
まとめ
上述しました正解していただきたい問題の各目標得点を合計しますと、82〜86点になります。
直近3回の合格ライン(80点、79点、80点)から考えて、今回の本試験の実際の1次試験合格ライン(合格最低点)は、81点前後と予想いたします。
( 2007/6/15更新 )
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