2006年度第3回(2007年1月28日実施)
実用英語技能検定1級1次試験 講評
英検1級1次試験ご受験大変お疲れ様でした。今頃はようやく緊張から解放されて、ゆったりとした時間をお過ごしかと思います。皆様ベストを尽くされたばかりですので、しばらくはのんびりして、次へのステップのために力を蓄えておいていただきたいと思います。クラスでご紹介しました映画などをご覧になるのも良いかもしれません。
では、今回の本試験についての講評を述べさせていただきます。
今回の試験は直近の試験と比べても、出題傾向・難易度ともに大きな変化は見られませんでした。
従って、合格最低点は前回の79点からそれほど大きく前後するようなことはないと考えられます。
そこで、大問ごとに分析を行ないました結果、2006年度第3回英検1級1次試験の合格最低点は、82点前後(113点満点)と予想いたします。
それでは、大問ごとに解説してまいります。
[1]単語問題
今回の1次試験で出題された語彙、特に正解の語彙は新聞や雑誌に登場するものばかりで、大変実用的な問題であったと思います。中でも、(4) aggravate、(6) verdict、(8) hereditary、(9) exacerbate、(17) feign、(18) offshoot、(19) plight、(20) secluded、(22) patch up、(24) kick up (a fuss)、(25) take off は、頻出する時事用語としても、英検1級受験者には、確実に知っておいていただきたい必須語彙でしょう。
試験中に、CELの生徒さんは、思わず笑みがこぼれてしまったのではないでしょうか?特に夏期コースから継続して受講していただいた方にとっては、馴染みのある語彙ばかりが登場していましたね。いくつか例を上げますと、(9)の正解のexacerbate(悪化させる)は夏期コースで正解の語彙として覚えていただき、その時に同意語として「aggravateも覚えておいてください」と申し上げましたので、今回の(4)に正解のaggravateも出題されていて、一度の授業で二度おいしかった(2問正解ゲット!)と言えますね。(11)の正解のsquander、(12)の正解のsolace、(17)の正解のfeign、(19)の2問正解のplightは、すべて夏期コースの模擬試験の中に出ていたもので、本当にラッキーだったと感じていらっしゃることでしょう。秋期コースの模擬試験の問題からも数多く出題されていました。(10)の不正解の選択肢2. taunt、 (16)の正解のmeekly(動詞meekで出題)、(18)の不正解の選択肢1. outcast、(20)の正解のsecluded(動詞secludeで出題)、不正解の選択肢2. fervent、(24)の不正解の選択肢4. fall off、さらに(25)に至っては、1. carve up(夏期コース)、2. wrap up(秋期コース) 3. head off(秋期コース)と、4つの選択肢のうち3つも出ていました。その他にも例を上げれば切りが無いくらいCELの『英検1級1次模擬試験コース』の模擬試験で出題させていただいたものが数多く見られました。
いつも授業の中で語彙問題対策について、「まずはCELの『英検1級1次模擬試験コース』の模試の語彙問題から、不正解の選択肢を含め、すべて覚えてくださいね」と申し上げ続けてきて本当に良かったと思っています。
[1]では、25点満点中20点は確実にとっていただきたいです。
[2]長文空所補充問題
一問目の“Second Look at First Impression”は心理学分野の話題ですが、「第1印象は重要であるが、誤解を招く場合がある」というテーマを捉え、空所の前後をしっかり読むことで、正解の語句を選べたと思います。(26)は選択肢1のoverlooked byを選びたくなったかもしれませんが、overlookは「景色などを見渡せる、(やや古い語法で)〜を調査する、(人が・・・することを)見のがす」といった意味ですので、問題(26)が含まれる文章の「そうした複雑な思いが科学界に反映されている」という文脈に合うようにするためには、選択肢2のmirrored inを選ぶことになります。
二問目の“Standing By”は「電気器具が待機状態にある時の電力消費」の話であると理解していただいて、「昨今の省エネルギーへの関心の高まりから、政府も関与し始めている」と大まかに話の流れを捉え、空所の前後を長めに読んでいただければ、正解が特定できたと思います。
[2]では、6点満点中4点はとっていただきたいです。
[3]長文読解内容一致問題
一問目のタイトルの“Crowdsourcing”は、あまり聞き慣れない単語ですが、「Websiteによって労働力を確保する」という内容を指しています。まだあまり知られていない言葉ではありますが、第2段落の始めにその説明の記述がありましたので、ここで明確に理解できたでしょう。本文で使用されているその他の語彙に特に難しいものもありませんので、比較的内容を取りやすい英文であったと思います。
本文中、(33)の解答を選ぶ際のkey part になっている、第3段落の6行目の中央右よりから始まる文章に、“Crowdsourcing has also helped industry ferret out reclusive inventors.”がありますが、この文のreclusive(他と混じりたがらない、一人を好む)は夏期コース第1回の語彙問題(10)の正解で出題しましたね。また、ferret out(探し出す)も秋期コース第3回の語彙問題(13)の正解で出題しましたが、その解説の際に、「ferretは名詞では『イタチ』という意味で、『ウサギやネズミを穴から追い出すために使われる動物』ということから、動詞では『ウサギやネズミを追い出す、狩り出す』という意味になり、outをプラスして『(秘密、犯人など)を探し出す、探り出す』となります。」と申し上げたのを覚えていて下さいましたか?“Vocabulary is power.”とよく言われます。英文は、語彙を知っていて英文の構造(文法)が分かっていれば、理解がより正確になるのは当然なことで、[1]の語彙問題で出会う語彙は他のすべての分野にも役立ちますので、すべてinputしていただきたいと思います。
ここでは、できれば3問とも正解していただきたいです。
二問目は“Re-evaluating the Fall of Rome”というタイトルの歴史物で、「ローマ帝国の崩壊の原因については様々な説があるが、新たな説が注目を浴びている」という内容です。ざっと一度読んだだけでは、細かい点までなかなか頭に残りにくかったかもしれません。そういった場合には、設問を読んで、そのkey wordから本文に戻って解答部分にあたる英文を探して解いていけば、正解を選んでいただけたと思います。
本文最終パラグラフ、下から4行目の左よりにparagon of peaceとありますが、このparagonは 秋期コースの第1回模擬試験の[1]語彙問題にありましたね。問題文では “a paragon of Japan's industrial might”とあって、補足の解説で“Cleopatra is a paragon of beauty.”「クレオパトラは美の典型です。(絶世の美人です)」と申し上げました。このparagonを思い出していただければ、文脈を捉えるのに多いに役立ったと思いますし、(37)の選択肢3を打ち消す際に参考になったと思います。
このあたり、長文読解の後半にさしかかって、やや疲れも出てくると思われますので、1問だけの正解でも良しとします。
三問目は“Mirror Neurons”という科学物で、タイトルからは内容を見当がつけにくいかもしれません。しかしながら、第1段落にempathy(感情移入、共感)という馴染みのある語彙に置き換えられていましたので、それについての研究に関する内容であると理解できたと思います。英文としてはやや難解な内容でしたが、設問は解き易く、二問目と同じように、key word readingで本文に戻っていただければ良かったと思います。正解のkey partも、設問の順番通りに本文に出てきていますので、正解を探し易かったのではないでしょうか。(41)のpsychotherapyについての内容は、問題P13の真中のコラムに書いてありました。コラムの上から5行目中央右よりから始まる“It has been found ...”から14行目の“...it himself.”までをしっかり読んでいただければ、正解の選択肢2を選べたと思います。
この問題はすべて確実に正解していただきたいものばかりでした。ここはできれば4問正解して欲しいところです。
[3]は合わせて14点〜16点はとっていただきたいです。
[4]英論文(エッセイ)問題
TOPIC:
Does society give the rights of animals enough consideration?
POINTS:
* Animals as food and clothing
* Animals in entertainment
* Endangered species
* Religious / cultural traditions
* The pet industry
* The use of animals in experiments
「社会は動物の権利に十分配慮しているか?」というTOPICは比較的身近な問題ですので、書き易かったのではないでしょうか?いつもクラスで申し上げていますように、疑問文のTOPICの時は、その答え(YesかNoか)をIntroductionではっきり明示して、その理由についてBodyで述べていくというやり方が定石です。今回もIntroductionでは「動物は充分にその権利を与えられています/いません。その理由についてこれから述べます。」と書いていただければ良かったと思います。
CELの生徒さんは毎回のEssay PracticeでPOINTSの扱い方も慣れていらっしゃると確信しています。POINTSの語句をそのまま用いるのではなく、内容が同じであれば語句を変えてもかまいませんし、POINTSを4つ、5つと使っても良いということはご承知だと思います。
動物の権利が守られているかどうかに関しては賛否両論あり、意見が分かれると思います。英検1級の[4]Essay(=英論文)では、採点に際して一方の意見が正しくて他方が間違いという判断は一切なされません。一つの主張をいかに正確にlogicalに伝えられるかが得点に大きなウェイトを占めますので、どちらの意見でも構いません。ご自身が「書きやすい」と思われる方の意見や主張を分かりやすく書いてあれば、目標得点は確保できるでしょう。
秋期コースの第6回フルサイズ模試[3]内容一致問題で「ラッコが絶滅の寸前まで減少している」という内容の文章を読みました。その際にラッコの歴史についてお話ししましたが、覚えていらっしゃいますでしょうか?「ラッコは体毛密度が高く、保温に優れていて手触りも柔らかいため、最高の毛皮として珍重された。ロシア、イギリス、アメリカなどによる乱獲の結果、ほとんどの地域で絶滅寸前となった」という内容でした。これを思い出していただきましたら、POINTSの一つ目の“Animals as clothing”や三つ目の“Endangered species”を使う際の参考になったのではないかと思います。Essayを書く際に必要な具体例の材料はあらゆる所にありますので、日頃から新聞・雑誌を読まれたりテレビのニュースをご覧になったりする際に、問題意識を持って情報を集めておかれるようにお薦めします。これは、二次面接試験対策としても多いに役立ちます。
[4]Essayは、20点獲得できれば充分です。
[5] Listening Part
Part 2の科学物など内容的にやや難しいものも含まれてはいましたが、特にサプライズの問題もなく、全体的にとても聴きやすく、難易度はさほど高くなかったと思います。CELの生徒さんは毎回のListening問題でしっかり鍛えていらっしゃいますので、本試験では勝利を勝ち得たと確信しております。前回2006年度第2回の試験では、かすれた声やら、イギリス人と思われる人の、日本人学習者には馴染みの少ないBritish Englishなど、バラエティーに富んでいましたが、今回はどのPartもclearな発音で、聴き取りやすかったと思います。
では、Partごとに見てまいります。
*Part 1*
特別長い会話もなく、発音もはっきりしていて、全体的には聴き取りやすかったと思います。3人会話の問題は前回のNo. 9ではなく、最後のNo. 10に出題されていました。2006年度第1回試験と同じように、女性2人男性1人のパターンでしたが、女性2人の声の特徴もはっきりしていましたので、混乱することなくストーリーを追う事ができたと思います。Part 1はnative どうしがいろいろな状況について自然に会話しているのを聴き取る問題ですので、普段から自然な会話を交わしている状況を聴く練習ができていれば、当然ながら有利になります。
No. 3は不動産屋と借家人との会話でしたが、CELの夏期コースの第6回フルサイズ模試Part 1でも、実は同じような状況の会話を聴いていただいていました。その際に deposit(敷金) という語彙もしっかり確認しましたので、聴き取る上で戸惑うことはなかったでしょう。
Part 1では、6〜8点はとっていただきたいです。
*Part 2*
Narrationがはっきりしていて、とても聴き取りやすかったと思います。Part 2 はPassageの内容について質問される問題形式ですので、background情報が少しでもあるとやはり有利になります。(A)の“Walk on the Wild Side”は「野生動物の生息地へ人間が移り住むようになり、野生動物を脅かしている」という内容でしたが、これに似た内容のPassageをCELの秋期コースで聴いていただきましたね。第4回のPart 2 (B) “Elephants and Indians at War”で同じような状況について取り上げていましたので、とても良い練習になったのではないでしょうか。さらに(C)の“Science Turns to Termites”は科学物ですが、CELのListening問題では科学物を扱うことが多く、この問題のPassageで重要な役割を担っているbacteriaについては、秋期コース第3回Part 2 (A)で“Friendly Bacteria”を聴いていただき、bacteriaも役にたつものであるという概念を学びましたね。また、(D)の“Malawi's Dilemma”は、秋期コース第2回のPart 2 (A) “Aid to Malawi”を聴いていただいた時に、クラスでもchunk listeningの解説で取り上げましたので、「ああ、あのアフリカの国の話ね」と、思い出していただけたと思います。Malawiは、あまり馴染みはない国かも知れませんが、その貧困状態や政府の汚職、国際援助の状況などについて授業の中でお伝えしました。今回のPart 2 (D)を解く際には多いに参考になったのではないかとうれしく感じています。
Part 2は最低でも6点は確保していただきたいです。
*Part 3*
Part 3 は、実際の生活の中で経験するような一つの場面が設定され、それに関する英文を聴いて、状況を判断して質問に答えるという、他の試験では見られない、英検1級独特の問題です。今回のSituationの英文は22〜27語とそれほど長くはなく、その後のQuestionも今回の本試験では4〜6語と比較的短かいものでした(2006年第2回は4〜11語)。ですから、与えられた10秒の間にSituationとQuestionを正確に理解して、すぐにPassageを聴く体勢を整えることができたでしょう。今回のSituationは5題すべて理解しやすい内容ばかりでしたので、ここは点数を稼げるPartになったと思います。クラスで申し上げてきましたが、選択肢が短い場合(No. 21、No. 23など)には、選択肢を見ながらPassageを聴いていただければ良いですし、数字が出てくる場合(No. 22)には、数字に関して質問されることが多いので注意することなど、これまでの練習が役立ったと思います。
Part 3では確実に8点はとっていただきたいです。
*Part 4*
今回のIntervieweeはカナダ人のformer navy diverという設定で、やや早口ではありましたが、発音はとてもクリアで聴き取りやすかったと思います。話の内容も分かりやすくて、長さも3分12秒と比較的短めでしたので、2問とも正解なさった方も多いと思います。CELの模擬試験ではもう少し長めのInterviewも聞いていただいていましたし、時には、言いよどんだり繰り返したりと、わざと聴き取りにくく話されたInterviewを練習していただいてきましたので、本試験のInterviewは理解しやすいと感じられた方が多かったのではないでしょうか。
余談になりますが、今回のInterviewを聴いて、リチャード・ギア主演の映画を思い出しました。“An Officer and A Gentlemen”邦題『愛と青春の旅立ち』は、リチャード・ギアがgirlfriendを抱きかかえるラストシーンが大変有名ですが、私は、黒人の厳しい教官のしごきに耐えてnavy pilotを目指すリチャード・ギアと教官とのシーンがとても印象に残っています。Listeningの練習も兼ねて、よろしかったらこの映画もご覧いただければと思います。
今回のPart 4は、会話の中で設問のポイントとなる個所がハッキリと分かり、正解を選びやすかったと思います。
ぜひ2問とも正解していただきたいです。
以上、リスニング試験では、Part 1:6〜8点、Part 2:6点、Part 3:8点、 Part 4:4点で、合計24点〜26点はとっていただきたいです。
[6]合格ライン
これまで述べてきました、正解していただきたい問題の各目標得点を合計しますと、82点~86点になります。けれども、直近3回の合格ライン(80点、80点,79点)から考え、今回の1次試験の合格ライン(合格最低点)は、82点前後と予想いたします。
皆様の合格を祈願して、うれしい結果をお待ちしています。
英検1級1次コース担当 田中 美智子
(2007年2月12日更新)
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