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通訳ガイド(通訳案内士)2次試験レポート

通訳ガイド(通訳案内士)2次試験レポート

受講生44

(1)試験会場到着から試験室入室までの手順

会場はNTT中央研修センター、面接は14時のグループでした。受付が開始される13時まではビル入り口のロビーで待ちます。CELで一緒に勉強した方がいたので「がんばろう!」と声を掛け合いました。13時になると受付が開始。当日の受験番号カードが入ったフォルダーを受け取り、首から掛けるように指示されました。
大きな部屋に移動し、指定された席に座ります。150人位いたように思います。通信機器の使用は禁止、受験者同士で話をすることも禁止です。トイレも勝手に行くことはできません。試験スタッフが引率します。
14時直前になると、10人単位で、別の建物にある中教室に移動し、指定された席で待機します。この部屋には20人位の受験生が待機していました。自分の受験番号が呼ばれたら前に進み面接部屋に移動します。5人単位で呼ばれます。各自、指定された面接部屋の前にある椅子に座り、呼ばれるのを待ちます。5分位待ちました。

日本人の試験員がドアを開けて「お入りください」と指示してくれました。曽根先生から言われた通り”Good Afternoon”と言いながら椅子(3つ並んでました)に向かいました。試験員が無言でしたので”May I have a seat?”と言うと、” Sure”とNative試験官と言ってくれたので、真ん中の椅子に座りました。

(2) 試験官の性別、推定年齢、(外国人面接官はアクセントから判断して)国籍

外国人:40代女性。ショートカットのブロンドヘア。落ち着いた感じ方でした。発音に変な癖を感じなかったので北米系の方かなぁと思いました。

日本人:40歳代。優しそうな顔立ちでしたが、笑みを見せることはなかったと思います。

(3) 自己紹介等のウオーミングアップのやり取り

J: “Please tell your name, birthday and living place”
Native試験員が言ったか、日本人試験員が言ったかは忘れてしまいました。日本人だったような気がします。
ゆっくり、丁寧に回答しました。 名前はI am~、誕生日はI was born on ~と答えるべきでしたが口癖が出てしまって前置詞にinを使ってしまったように思います。

J:「これから私が日本語で話す文章を聞いて英語に訳してください。横に筆記用具があるので、メモを取っていただいて構いませんお願いします。」

CELのモック面接では、「観光客に案内するように訳してください」と指示をされていましたが、実際の試験では、そのフレーズはありませんでした。

(4) 通訳の日本文

内容としては、
「山梨県は果物、特に葡萄の生産地として有名です。山梨県は山に囲まれ、日照時間が長く、夏は暑く、冬は寒く、水に恵まれています。このような気候条件が山梨県を葡萄の生産地として適したものにしています。」
という感じだったと思いますが、もっと長かったと思います。日本語が読まれるスピードですが、CELのモック面接とほぼ同じと考えてよいと思います。ゆっくりは読んでくれませんでした。
CELのモック面接の際「本番の試験はもっと短い」と聞いていたのですが、実際はモック面接と同じ位長かったように感じました。気候の条件が多く述べられていたので、メモが追い付かず、通訳では、日照時間と夏の暑さ位からしか入れ込めなかったかもしれません。試験後、他の通訳の問題を見ましたが、今年の通訳はどれも長く、その内容も難しいものが多かったように思います。その中では、この問題は私にとっては通訳しやすい内容だったと感じましたが、良いパフォーマンスができず後悔が残りました。
また緊張のため、通訳冒頭で「山梨県 is famous for~」と無意識に言ってしまったのですが、言い直さずに通訳を進め、第2センテンスで、「Yamanashi prefecture」と改めて言いました。Native試験員が少しニコッとしたように感じました。また第一センテンスに果物(Fruits)というwordを入れ損ねたかなぁと思ったので、最後のセンテンスで、「Fruits, especially grapes」と言ったら、Native試験員が少し頷いてくれたように感じました。気のせいかもしれません。

最後のモック面接で花野先生から「最初のセンテンスをしっかり決めること。あとは内容が落ちても、詳細の数字とかが間違っても、全体の流れを意識して話せば大丈夫。Nativeは細かいことより全体の流れで内容を理解します」とアドバイスを頂いので、ギリギリですがそのレベルでは通訳できたように思います。

(5) 英語訳の再現

Yamanashi-Ken is very famous for grapes. Surrounded by mountains, Yamanashi prefecture has short time of sun lighting, is hot in summer, a lot of water fall. These climate conditions make the Yamanashi prefecture the great fruit producer, especially grapes.

こんな感じで答えましたが、もっと三単現の"s"とか複数・単数とかは間違ったように思います。

(6) プレゼンテーションの3つのトピック

外国人試験員が机を立ち、私の前に歩いてきて3枚のカードを手渡してくれました。

1.江戸時代の身分制度
2.お盆
3.(記憶なし:見た瞬間、これは話せないと思いすぐに候補から消しました)

(7) 選択したトピック

・江戸時代の身分制度

「江戸時代の身分制度」と「お盆」で悩みました。どちらも話せる内容だと感じたからです。後のQ&Aを考えると、江戸時代の方が歴史的史実に基づいて回答できるだろうと思い、江戸時代の身分制度を選択しました。

(8) プレゼンテーションの再現

・選んだ後に「身分制度」を英語でどう表現しようかと少し悩みました。”Hierarchy system in the Edo period”としました。最後に受けたモック面接の際に出てきたキーワードでした。
・江戸時代は17世紀から19世紀中期までの時代。
・徳川幕府が国を治めていた。
・4つの階級に分類されていた。士農工商。
・士の中でも徳川家とそれ以外の大名では違いがある。
・大名は参勤交代を強いられた。江戸に大名の家族を人質として住ませ、定期的に江戸に来させた。幕府はこれにより大名の資金力を削いだ。
(まだストップと言われなかったので)
・鎖国制度も特徴です。大名には海外との貿易を許さず、幕府が独占しました。

ここで、日本人試験員から、「時間が過ぎていますので、ストップしてください」と言われ。「Thank you」と言って終えました。

(9) Q&Aのやり取りの再現

実際のやりとりは英語ですが、日本語で再現します。話した英語は、文法的にかなり間違えました(時制、三単現、単数・複数など)。センテンスとして成立してない表現も多かったと思います。それでも言いたいことは伝わったと思います。
N:興味深い話をありがとうございました。各4つの階級の中で、さらに上下はありますか?
私:(予想外の質問でした。一瞬どう答えようか悩みました)
まず階級を超えて上がることはできません。農民がサムライにはなれません。同じクラス内の上下ですが、あまり意識されていなかったと思いますが、もちろん同じ階級の中でもお金持ちと貧乏が存在していました。
N:現在も階級制度はありますか?
私:私は会社に勤めていますが、Hierarchy system、例えばCEOがトップにいて、シニアマネジャーがいてという階層がありますが、これは仕事の役割としての階層で江戸時代の身分制度と異なります。
N:4つの階級で一番人数が多いのは?
私:農民です。
N:当時の農民の生活はどうでしたか?
私:厳しかったと思われます。税金を多く取られていました。
N:現在の農家の状況はどうでしょうか?
私:日本の農業のメインは米ですが、食の西洋化で日本人の米の消費は減ってきています。小麦を使うパスタや肉など輸入品の消費が増えているからです。ですので、良好ではありません。
N:TPPが始まったら日本の農業はどうなりますか?
私:(いきなりTPPの質問かぁと思って、「TPP??!!」っと、ビックリした顔で言い返したら、ネイティブ試験員が、「This is a very difficult question.」と言ってくれました。モック面接の時に「予想外の質問を受けた場合はビックリしたリアクションを見せることも有効。すべての質問にロボットのように回答しないこと」ということを、現役ガイドの先輩からアドバイスを受けたのが、本番で活きたと思いました。)
最初は少し厳しい状況になると思います。日本の農業は国から守られているからです。しかし市場競争は重要です。市場競争が産業を成長させると思います。
N:日本の米は他の国の米と違いますか?
私:私は日本のコメは、他の国の米よりおいしいと思います。
N:日本の米の良さを海外にどうやって認知させるのがよいでしょうか??
私:最近、日本料理は海外で人気になっています。寿司やてんぷらなどを日本料理と一緒に米の良さをプロモートするのがよいと思います。私は、日本の米をもっと海外にプロモートしたいです。
(この回答の後、ネイティブ試験員が笑顔でThumbs upポーズをしてくれました。)

ここで面接が終わりにあり、私から「Thank you so much」と言い席から立ち上がり、部屋から出る時に日本人試験官に「ありがとうございました。」と日本語で言いました。

(10) 日本語での質疑応答の有無

ありませんでした。

(11) 試験終了後のやり取り

ありませんでした。

(12) 終了後、退出してから解散までの手順

また別の会議室に案内されました。受験生全員が教室に揃ったところで解散となりました。15:30頃だったと思います。

(13) 全体を通しての感想など

Nativeの試験官が笑顔でThumbs upポーズをして終わったので、試験直後は「合格できるかもしれない」と思いました。しかしその後、自分のパフォーマンスを振り返ってみると、通訳の完成度、プレゼンとQ&Aの文法的ミスなどが気になりだしてしまって、合格できるかどうかは「50:50」かなぁと感じています。
限られた時間で勉強する2次試験は「通訳」も「プレゼン」も当日に当たる問題でパフォーマンスに差がでます。個人の経験、得意分野、重点的に勉強した領域が異なるからです。そういう意味では運に左右される部分があるのは否めないと感じました。しかし、意識すれば誰もができることは、「挨拶」「笑顔」「アイコンタクト」「ジェスチャー」です。モック試験で何度も言われたので「どんな状況になってもこれだけはしっかりやろう」と自分に言い聞かせて面接に臨みました。
曽根先生からは「2次試験は英語の試験ではないよ。適正をみる試験だよ」、根岸先生からは「2次試験は合格させるための試験。試験機関の気持ちとしては受験者全員を合格させたいと思っている」と言われました。これらの言葉は緊張で張りつめていた心を楽にしてくれました。曽根先生の「沈黙は禁」に対しては、「まったく知らないテーマしかなかったらどうしようか?」という不安を持っていました。知らないことは日本語でも話せないので。でも、「江口先生とDan先生に教わったことをしっかり頭に入れて臨めば、当たらずも遠からずの話はできるはず。どうしようもない時は強引にその方向に持っていって話しちゃえ!」と心に決めました。CEL職員の田中さんから「受験する人はみんな準備が完璧ではなく、不安を抱えたまま試験に臨んでいるんだよ。大丈夫!」と言葉を掛けてもらいました。この言葉にも勇気づけられました。CELの先生、職員の方には感謝しております。
最後に服装(男性)です。私は悩みました。普段仕事でスーツやネクタイをすることがないので、普段と違うことをするのは良くないと考えたからです。また個性を出すことも大切だと思っていました。モック面接の時に質問すると常に回答は「ネクタイはした方がいいです」でした。しかし自分の心はチノパン、シャツ(ノーネクタイ)、ジャケットで行こうと決めていました。ネットで検索してみると「2次試験にスーツに行くという都市伝説がある。」「ジーンズとセーターでも合格しました。」等の書き込みもありました。気持ちを固めたにも関わらずまだモヤモヤしていたので、試験2日前の最後のモック面接の時にも質問をしてみました。先輩ガイドの方から「面接してもらう立場にあるのでスーツとネクタイが良いです。絶対にお似合いになりますよ!」と言われて、紺のスーツ、ブルーストライプのシャツ、黄色のネクタイに切り替えました。スーツはずっとクローゼットの中で眠っていたので、前日に天日干しをしました(笑)。個人的にはスーツにして良かったと思いました。服装が試験結果に影響する感じは受けませんでしたが、スーツで受験することで試験員に敬意を示せるような気がしたからです。相手に敬意を示す姿勢は日本人がもつ心・文化の1つ(道)であることを江口先生の日本事情の授業で教わり、印象づけられたことを思い出しました。ちなみに実際の試験ですが、受験生(男性)の服装は色々(ジーンズあり、ビジネスカジュアルあり)でした。

結果がどうであれ、CELでの勉強は実りあるものでした。この歳になって日本の良さ、奥深さを知ることができました。今後もお世話になりたいと思っております。今後とも宜しくお願い致します。

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