CEL受講生の体験記

CEL受講生の体験記

<2012年度通訳ガイド国家試験合格者からのメッセージ>


通訳ガイド試験合格者の声CELが教えてくれた日本文化の美しさと素晴らしさ

荒川 裕子さん(通学受講)
>>受講歴 通訳ガイドコース英検1級コースBuildupコース


<CELの全コースを受講>
 私は前年の英検1級に続き、今回通訳ガイド試験に一度で合格することができました。昨年に続いて合格の結果を出せたのは、CELの先生方、スタッフの方々、そして何より、励まし合って一緒に勉強を続けた、たくさんのCELの友達のおかげです。

 2004年に初めてCELの英検1級コースを1期、通学受講しました。その後はクラスで知り合ったお友達との勉強会を続けながら、CELとはBuildupコースに1期通学、また何年かして英検1級コースに1期通学、1級2次試験前にはDan先生の2次直前コース、と言う様に、CELとは五月雨式のおつきあいでした。フルで長期間通学受講したのは今回の通訳ガイドコースが初めてです。
 こんなCELとのおつきあいの中、たくさんの先生方に教えていただきましたが、皆さんにお伝えしたいのは、花野先生のクラスのすばらしさです。明晰・明快な英文の解釈。同じ女性ということもあり、なんてカッコ良いんだろう!と憧れてしまいました。もちろん、英語総合力の向上にたいへん役立ったことは言うまでもありません。最近、長年企業内での翻訳・通訳に携わって来た友達にBuildupコースを紹介しましたら、やはり「すごい!」と喜んで、彼女も花野クラスに仲間入りしました。

 以下に、自分の勉強のプロセス・方法と、自分にとって勉強とは、と言うことについて、反省も含めてお話しいたします。これから通訳ガイド試験に挑戦される皆様に、なるべく具体的な事を含めて、語るつもりで書き進めたいと思います。

1:勉強方法
<苦手の日本地理と日本歴史で四苦八苦>
 私が通訳ガイドコースを受講すると決めたのは開講直前でした。予習が全くできないまま授業に臨んだので、江口先生の説明の速度について行けずに、地図でどこを見ているのか、資料集のどこを指しているのか見つけられず、探しているうちに授業が終わってしまった感じです。1回の授業の進度は速く、1週間で国立公園を全部覚えなさい、次は国定公園、と課題が続々と出ます。
 私は特に地理が苦手で、CELのテキストと地図帳に加えて、ネットで国立公園のホームページや博物館のページ、NHKのサイト「みちしる」、NHKテレビ「日本風土記」「美の壺」を視聴する事が助けになりました。歴史ではNHKの「さかのぼり日本史」「歴史館」「高校日本史講座」などを必ず視聴しました。「みちしる」は本当に役に立ちました。あまり旅行をしていないので、国内でも知らないところばかりです。自分では想像も付かないような山脈の美しさ、人々の暮らしなど、美しい映像が数分間にまとめられており、地理が苦手な方には是非視聴をお薦めしたいです。おかげで私も、初めは四苦八苦した地理が楽しくなってきました。

 ところが3教科の授業が終わった時点で過去問を解くと、どれも50点も取れない有様。これでは全然合格に届かないと、私は頂いた3教科の過去問を全て100点になるまで繰り返そうと決めました。答え合わせでは、正解の選択肢だけでなく、他の選択肢も内容を調べ確認しました。

 結果、本試験では、日本地理と日本歴史は自己採点では満点近い点数を取れました。CELの授業受講前には苦手だったのが嘘のようです。一般常識だけが53点に終わってしまったのですが、それは7月に父が2度入院し、一般常識の勉強が時間切れに終わってしまったからです。一次試験の自己採点でこの点数が分かった時は、これでは二次試験には進めないだろうと二次面接対策はあきらめの気持ちでした。

 でも、一次試験後、先生方は全科目50点以上取れた方は二次面接試験の準備を始めて下さい、と自信を持っておっしゃいました。それでも私は「本当に受かるのかなあ・・60点無いし」。と、半分投げやりになり、英検1級勉強会の友達とまた英検1級を受けたり、通訳ガイド試験に関係無い勉強をしたりしていました。

<楽しさいっぱいの日本事情コース>
 それが、江口先生の日本事情コースVer.2の授業が始まると、段々やる気が出て来たのです。最初は授業の要領がわからず苦痛でした。でも回数を重ねるうちに、「日本事情ってこういうことを話せばいいのか!トピックを自由にチョイスできて面白いな」と気持ちが変わって行きました。同時に、「私はこう思う。私ならここを言う」というアイディアが次々と出て来ました。もっと調べたい、あのこともこのことも言える、と気持ちが強くなり、私は「私の日本事情」を話せばいいのだ、と思い至りました。

 学生時代は日本の古典文学を学び、同時に、社会福祉に関心を持ってボランティア活動に関わり、子育てして退職するまで、ずっとそれらに関わる仕事をして来た私です。英語に関係のない世界にいた反面、日本文化や社会に対して、様々なものに触れて感動し、私には私なりの見識がありました。

 「わびさびについて」、「伝統芸能について」、「古典文学について」、自分の知識や認識を実際に言葉で表現する機会は、ありそうで無いものです。それを英文化し、西洋文化に生きる外国人に分かりやすく説明するにはどう言うか?と考えるのは、興奮するほど楽しい作業でした。

 日本事情コースのテキストは自分のアイディアを作る上でspringboard になってくれました。今までの自分の認識をさらに更新する動機になったとも思います。また、2次面接試験の質問の過去問、ダン先生のクラスでの質問に対する答えを考える上でも、この作業は大変有益でした。

 これから受講する皆様も、ぜひ「マイ・日本事情」を語ってください。それはまさに面接試験のモデルアンサーではない、オリジナルアンサーではありませんか!

<自分自身の考えを言うのが面接試験対策のキーポイント>
 模擬面接クラスで、ダン先生は良く「自分の考えを言いなさい、人と同じ事を言うのはつまらない」とおっしゃいました。面接試験の答えには正解も不正解もありません。ただ、自分の本心からの意見を自分の感性で選んだ言葉で言えば良いのです。二次面接試験を終えた今、私は心からそう思います。

 私の二次面接試験の時の2番目の質問は、「日本人が外国人の振る舞いを見て無礼だと感じるのはどんな時?」というものでした。私はすぐには思いつかずに、うーん、と首をひねってしまったのですが、「日本人は外国人の振る舞を見て無礼と思うことはあまり無いと思います。」と答えました。「それは日本人の傾向だと思います。何に対しても、他のやり方を受け入れる、変だと思っても嫌だとはあまり思わない、全体的にそういう傾向があると思う」という説明をしました。その中で、私は”embrace”という単語を使いました。面接官はお二人とも大きくうなずいておられました。”embrace”は日本人気質を語る上で、ぜひ使いたい言葉でした。その後、「でも実は、電車の中で携帯でしゃべっている人を見ると、ちょっと困ると思うんですけど」と話を続けたのですが、使いたかった”embrace”という言葉を実際に使い、私の真意をわかっていただけたようでうれしかったです。

 試験勉強の全体の反省点としては、駆け込み受講になって予習の時間が無かったこと。予習していれば、もっと先生の授業を楽しんで聞く余裕があったと思います。先生の「授業を味わう」まで至らなかったことはとても残念でした。

2:自分にとって勉強とは
 実は前年、英検1級の二次面接試験が終わった日に突然、元気だった母が亡くなりました。あまりのショックで90歳近い父は寝込み、私は悲嘆と混乱で疲れ果ててしまいました。そんな中英検1級合格の知らせが届いたのです。母がどれほど喜んでくれたかと思うと、うれしいより悲さと申し訳なさでいっぱいでした。それからずっと頭も気持ちも沈みこんでしまいました。それでこれではいけないと、もう一度勉強を始める事にしたのです。その目標としたのが通訳ガイド試験でした。正直に言って、通訳ガイドになりたい!という強い決意や意志があったわけではありませんでした。でも私は、勉強が自分の頭をsort outしてくれること、カオス状態の気持ちに秩序をもたらしてくれることを知っていました。それは英検1級の勉強をしている時に得た実感でした。

 それ以前にも,幾度とあった人生の難問を乗り越える時に「学ぶこと」はいつも私の背を押し、励ましてくれました。絶望する事があっても、「学ぶこと」が希望を見せてくれたのです。英語を通じて、仲間と共感し、支え合い、ここまで来たと思います。勉強することは未来を生きることであり、将来を信じるということです。最初は通訳ガイドになりたいという気持ちも無く始めた勉強ですが、気持ちは変わって行きました。これからは日本文化をどこかで、英語で発信したい、と思います。CELに通った日々は、日本文化の美しさ、素晴らしさに改めて惚れ込んだ時間でもあったのです。

 皆様がこれから、新しい発見に満ちた勉強の中で、目標を達成されますよう心からお祈りしています。