「英語総合力養成講座」~英検準1級、そして1級へ~

コラム:「英語総合力養成講座」~英検準1級、そして1級へ~

第1回:英文和訳から英文読解へ

CEL英語ソリューションズ 最高経営責任者
曽根 宏

新英検は、英語を英語のまま理解・使用するための最適な試験

2004年6月より、英検1級と準1級の1次試験が新形式となりました。今回の試験形式改訂の内容は、両級ともに以下の2点にまとめられます。

1.和文英訳でない、自由英作文が課される
2.試験に日本語が一切介在しない

参考:新形式の英検1級の詳細は→こちら

コミュニケーションの一手段としての実用英語を考えた場合、英語と日本語の行き来(すなわち通訳と翻訳)をする必要はありません。両言語の行き来をしない方がスムーズにコミュニケーションを図ることができるからです。通訳と翻訳は、それを職業とする人の特殊スキルですから、そのための勉強方法はまた異なってきます。

「英語は、可能な限り英語のままで」。今回の試験形式の改訂は、英検が、その名のとおり「実用」に供する英語能力の判定試験としてさらに進化した証左です。つまり、2次試験まであわせますと、新英検は、英語を「読む」「書く」「聴く」「話す」の言語の4技能をよりバランスよく測定する最適の試験になったと言えます。

その結果、日本人の留学要件として、TOEFLやTOEICの代わりに、英検資格を指定するアメリカの大学が増え続けています(2005年7月時点で133大学)。今や英検の資格は、ユニバーサルに通用する英語力判定基準になりつつあると言えます。

*参考:アメリカ大学留学に際しての英検資格の指定については、下記サイトをご覧ください。http://www.eiken.or.jp/advice/treatment/yuuguu.html


そこで、今回より6回シリーズで、新形式の英検を意識しつつ、実用英語を「読む」「書く」「聴く」「話す」ための勉強方法を一緒に考えていきたいと思います。

第1回目は、「読む」ことに焦点を当ててみましょう。


英語の漢文読みがすべての原因

I was born to love you.

キムタク主演のTVドラマの中で使われたおかげで、最近リバイバルで大ヒットしたQueenの名曲のタイトルです。このタイトルを日本語に訳してみてください。簡単ですね。「私はあなたを愛するために生まれた。」これで満点です。いわゆる学校英語的、受験英語的には。しかし、国際ビジネスの現場で長年英語を日常的に使ってきた筆者としては、この訳にはあえて×をつけてしまいます。

それでは実用英語の観点からの正解はなんでしょう。「私が生まれたのは、あなたを愛するため」です。なんだ、同じ意味じゃないか、と思われるかも知れません。そのとおり、意味としてはまったく同じです(ニュアンスは多少違うような気がしますが)。ただ、決定的に違うことが1点。後戻りして訳しているか、頭から訳しているか、の違いです。CEL英語ソリューションズでは、前者を「返り点付きの漢文読み英語」と名付けて、生徒のみなさんに、極力やらないように指導しております。何故でしょう。英語の長文を読んで行く時に「漢文読み」で読んでいきますと、流れがわからなくなり、結局その文の内容、「言いたいこと」がわからなくなりがちだからです。

国際ビジネスの現場では、数百ページの英語のドキュメントを1日で読む、1時間後の英語でのミーティングに備えて、数十ページのアジェンダを確認する、などということは日常茶飯事です。一文づつ漢文読みをしていたのでは、とても仕事になりません。

どんな言語でもそうですが、みなさんは、母国語の日本語の一文を読む時に、たとえば日々新聞を読む時に、後戻りして解釈することがあるでしょうか? ほとんどないと思います。日本語と同じように、英語を「頭から書いてある順序で理解する」訓練をすること、これこそが、今回の「英文和訳から英文解釈へ」の主旨です。

蛇足ですが、筆者の大好きなグループ、Chicagoの名曲 ”Hard to say I’m sorry”の邦題は「素直になれなくて」です。この訳になりますと、プロのしかも超一流の翻訳家の<名人技>で、通常の英語学習者にここまで求める必要はないでしょう。ただし、このような名訳はできなくても、この英語のタイトルの意味するところを概念として頭で理解する、これが英語を英語のままで理解することにつながるのです。


「読む」と「話す」のどっちが速い?

もちろん、読む方が速いわけです。当たり前です、日本語の場合は。でも、いったん話しが英語になるとどうでしょうか。日本人英語学習者が英語を読む場合、話すスピードより速く読んでいる人はとても少ない、これまた現実です。同じ文章を、よ~いどんで、黙読する人と朗読する人がいた場合、黙読する人が「漢文読み」していたら、朗読する人に遅れを取ることは、火を見るより明らかです。

ここで自分の読解能力を試してみましょう。英字雑誌でも英字新聞でもよいですから、英文を前にして、まず1分間で自分で朗読してみてください。そして、1分間で何ワード朗読したか記録してください。これがあなたの「朗読スピード」です。次に1分間で、同じ英文を、意味をきちんと理解しながらできるだけ速く黙読で読んでみてください。1分でどこまで読めたか、つまり何ワード読めたか、これがあなたの「読解スピード」です。

さあ、どうでしたでしょうか?

ケース1:(朗読スピード)>(読解スピード)
ケース2:(朗読スピード)<(読解スピード)

ケース2の場合だけが、ほんとうに英語を読んでいると言えるのです。ふだんの訓練方法としては、いちいち時間を測るわけにも行かないので、CEL英語ソリューションズでは、「指追い読解」を勧めています。英文に沿って、指を一定速度で動かしながら読んでいくのです。指の動くスピードが落ちたり、指が止まったら、それはすなわち、読むスピードが落ちたことの証拠です。まして、指の動きが逆戻りしたら、そう、「漢文読み」が始まった!とわかるのです。一度試してみてください。


頭から英語を理解してみましょう!>>