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英検1級試験情報

英検1級試験情報
英検1級1次試験速報まとめ

2019年度第1回試験 (2019年6月2日実施)

全体の講評

 実用英語技能検定1次試験は、2016年のリニューアル以降、Reading、Listening、Writingの3技能が均等に測定されるようになりました。丸3年が経ち出題も徐々に安定し、回により多少の難易度の変動は見られるものの、正答数や素点がCSE2.0に換算されることにより合格ラインは一定となるよう調整されています。受験者は合格・不合格だけでなく、分野毎の達成度を合わせて確認することができるのが大きな利点です。
 今回の試験を前回と比較すると、語彙、空所補充問題、内容一致問題は易化した一方で、リスニングのPart 2、3はやや難化。出題に関して印象に残ったのは、このところ毎回複数のパッセージで出題されていた「歴史物」がなかったことです。ただし、これは今回に限ったことなのかもしれません。
 大問1番「短文の語句空所補充」は通常より答えやすい問題が多くありました。相変わらず過去に出題された単語・熟語が繰り返し出題されていますし、それ以外の出題も普段から新聞・雑誌などを読んでいれば出会うような表現が多く無理のない出題です。Readingの問題数41問中25問が大問1番の語彙・句動詞の問題であることを考えると、ここでの正解数がReadingスコアに大きく影響します。したがって英検1級合格のためには語彙増強は必須といえるでしょう。語彙量は大問1番に役立つのみならず、読解問題やリスニング、エッセーでのスコアにも反映されるものです。単語集にばかり頼ることなく、できるだけ多くの英語に触れる中で語彙を増やしていくことが理想的です。
 大問2番「長文の語句空所補充」の英文は2題ともかなり読みやすいものでした。社会問題と芸術分野からの馴染みのある出題であったため、興味を持って読めたのではないでしょうか。選択肢もさほど迷うことなく短時間で正解できるものばかりでした。このところ易化傾向が続いている空所補充問題ですが、いよいよこれが定着しそうな予感もしてきました。ここはしっかりと正解しておきたいところです。
 大問3番「長文の内容一致選択」は、3題とも通常どおり、あるいはやや易しめの出題でした。落ち着いて読めれば、選択肢のヒント箇所も見つけやすく、選択肢の言い換えにさえ気づけば正解できました。また、歴史物を苦手とする受験者にとっては今回はラッキーだったと言えるかも知れません。2題目の『Jordan Peterson and Bill C-16』は社会問題ですが、他の2題は、サイエンス、考古学の分野からの出題で、以前の英検の出題傾向にもどったような感があります。ただ、どのような分野の文章でも読めることが合格のためには必要な大前提であることに変わりはありません。
 大問4番「英作文」(エッセー)のTOPICは、『Agree or disagree: Infectious diseases will become a bigger problem in the coming decades』(感染症は今後数十年でより大きな問題になるだろうか?)。前回の『Is a worldwide ban on weapons of mass destruction an attainable goal?』(大量破壊兵器の世界的禁止は達成可能か?)のTOPIC同様、まさに現在問題となっているグローバルなテーマが出題されました。ただ、最近の中ではTOPICも明快で理解しやすく、エッセーとしては書きやすいと感じた受験者が多かっただろうと思います。今回全体的に解きやすかったReadingセクションとの解答時間の兼ね合いに配慮をすることができれば高得点へとつながったのではないでしょうか。
 Listeningは、Part 2とPart 3の難化が目立ちました。Part 1はいくつか状況がわかりづらい問題はあったものの全体的には答えやすい問題が多く、通常どおりの出題でした。Part 2は英検らしいバラエティに富んだテーマが並びました。次々と変わる話題についていくのが大変だったかもしれません。そんな中で(C) の『Coronal Mass Ejections』(コロナ質量放出)が今回最も注目されるパッセージでした。選択肢も選びにくいと感じます。Part 3では、(H)がこれまでにないタイプのパッセージで聴きづらく、ペースを乱してしまいそうです。その他は通常の難易度ですが、疲れが出てくるころであることを考慮するとやや難化を言えるでしょう。前回は、オーストラリアの特徴ある発音が注目されたPart 4ですが、今回は特筆すべき点がなく、無難な出題だったと思います。今後も Listeningの各パートは回毎に多少の傾向の変化は見られると予想されますが、普段からしっかりと「聴く力」をつけておければ決して無理のない範囲です。対策ばかりに走らず、基礎力を固めることが結局は「近道」になるというのも真実です。

では、問題毎に見ていきましょう。

CEL解答はこちら>>

☆試験問題(リスニング含む)はこちらの日本英語検定協会のサイトで公開されます。

「速報ツイート」開始前に、本日英検1 級を受験された方にアンケートを取りました。
結果は大問3番の解説の後に掲載しています。

《アンケート》
★質問1:大問1番の語彙・句動詞は、前回と比べていかがでしたか?
1) 前回より易しかった
2) 前回より難しかった
3) 前回とほぼ同じ
4) 受けていないが結果を見たい
★質問2:リスニングはどのPartが最も難しかったでしょうか?
1) Part 1
2) Part 2
3) Part 3
4) Part 4

 

問題毎の講評

[1]短文の語句空所補充問題

(1) 年間最優秀社員賞を受賞したイザベラは、社の価値観の典型である(良い見本となっている)の意味で正解は2 epitomized。名詞はepitome「典型、権化」。めずらしく明るい話題から始まりました。
(2) 恋人のジュディが別れたがっているのではないかと不安な男性に対して「そんなのあなたの作り事でしょ!」と喝を入れるジュディの女友だち(←たぶん)。正解は3 figment(作り事)。a figment of one's imagination はよく使われるフレーズ。出ました!大問1ではおなじみの弱気な男!
(3) これは易しすぎでは?bug sprayから連想して、正解は3 repel(~を寄せ付けない)。ついでに名詞のrepellent(防虫剤、虫よけ)も一緒に。準1級で出題されそうな単語です。ちょっと受けたのが、2 abduct(~を誘拐する)。虫を誘拐して身代金でも要求するのでしょうか?
(4) 屋根が修理不可能なまでに壊れてしまったので全部取り替える必要がある。正解は3 irreparably(修復できないほど)。主語のrepairpersonもヒント。irreparablyは「repairできないほど」の意味です。今回も副詞を入れるのはこの1問のみ。このところ1問ずつが続いています。
(5) それらしく見せかけた詐欺のEメールには気をつけるべきだという内容から正解は4 fraudulent(詐欺的な、不正な)。これも準1級で出題されそうな単語。名詞のfraud(詐欺)も最近では残念なことにニュースや新聞で頻繁に出会う単語になりました。
(6) ティムのオフィスをもっと明るくしなければ、とあることから、空所にはマイナスの意味の単語が入るはず。正解は1 drab(単調な、殺風景な)。あまりに殺風景なのでプラントを置くことにしました。空所後には、thatが省略されています。
(7) 空所には1行目で使われているteachのような意味が入るはず。正解は3 imbue。imbue 人 with ~「(人)に~を染み込ませる、植え付ける」。このあたり、あまりに正論で真面目、、、やや面白みに欠けるかも。
(8) これは面白い問題。トレーニング法や食事療法などの進歩により、30年前の世界記録はほとんど塗り替えられている、の意味で正解は3 eclipsed。eclipseは名詞では、日食・月食の「食」。動詞だと「~に影を投げる」 → 「(記録など)をしのぐ」。言い換えるとsurpass、excelなど。
(9) オーウェンはプロジェクトリーダーなので、チームが締め切りに間に合わなかったときに、社長の怒りの矢面に立った。正解は2 brunt。take/bear the brunt of ~「~の矢面に立つ」はよく使われるセットフレーズ。
(10) 「検察側は被告が有罪である明らかな証拠を示すことができなかったので・・・」となるので、正解は1 incontrovertible(議論の余地のない、明白な)。「controversy (議論)がない」と考えるとわかりやすい。2 subservientをsubversive(破壊的な)と読み違えると選んでしまいそうにも思えます。
(11) 日が暮れて気温も下がり始めたので、キャンパーたちがキャンプファイアーの周りに群がった。正解は2 huddled(身を寄せ合う)。不正解である 4 scoffは「あざ笑う、嘲笑する」。キャンプファイアーの周りでキャンパーたちがみんなで嘲笑する様子を想像すると不気味です。
(12) in a ... に続きその後にwhetherがあることで、4 quandary(板ばさみ、苦境)が正解だとわかります。in a quandary (= dilemma) で「板ばさみで困って(迷って)いる」状態を表します。仕事は嫌いだけれど次の仕事が見つかるか自信が持てないランス。今回登場の2人目の気弱な男性として認定します!
(13) この社長はちょっとしたミスで社員をクビにすることが日常茶飯事、という内容から、正解は1 compunction(良心の呵責)。ここでもそうですが、have/feel no compunction about ... や without compunctionのように否定で使うことが多い。同義語は、scruples、qualmsなど。
(14) これも正答率が高いでしょう。sendの目的語と言ったら、1 envoy(使者、使節) しかありません。降伏条件を交渉するため敵国に外交使節を送りました。不正解の選択肢3つも含め、どれも1級では知らなければいけない単語ばかりです。
(15) ビジネスにおいて成功するのはどんなチームなのか?後半のteamwork、unityがヒントとなり、正解は2 cohesive(団結した)。動詞はcohere(密着する、結合する)。名詞はcohesionですが、エッセーなどの文集合の結束性(まとまり)にも使われる単語です。
(16) マーシャはウィリアムになんら興味を示していないのに、ウィリアムは自分が好かれていると信じ込んでいた。正解は3 deluded(~を欺く、惑わす)。delude oneself into ~「~だと信じ込む」。これは、大問1番のまさかの新キャラでしょうか?妄想する男性・・・。
(17) ウィノーナは、彼女のファイナンシャル・アドバイザーの判断には絶対の信頼を置いていた、という文脈から正解は4 infallible(絶対に正しい、誤ることのない)。名詞のfallacy(誤った考え)から覚えるとよいのですが、受験中にはここで少し興奮しました。
普段から当アカウントにて、新聞・雑誌の記事から英検1級で出題されそうな単語をツイートしているのですが、infallibleはなんとほんの2日前にご紹介していました!!これまでも出題を当ててはいましたが、こんなに近いところでつぶやいていたのは初めてでした。今後も続けていく予定です。
(18) プレゼンの要点は理解できたけれど、詳細の全てはわからなかった、という内容から正解は1 gist(要点、要旨)。こちらも1級ではおなじみの単語でした。
(19) ヤスミンは第1志望の大学の合格通知を見てどうなったか?空所にはhappyのようなプラスの意味の形容詞が入るはずです。わからなくても消去法でも答えられそうな正解は3 euphoric(幸福感に満ちた)。英検受験後も是非ともこうありたい。。。
eu- は「良い」「好ましい」の意味。eugenics(優生学)、euphony(心地良い音)、eulogy (追悼、賛辞)、euphemism(婉曲表現)、euthanasia(安楽死)。そして、euphobia(吉報恐怖症)。吉報は悪報の前ぶれと考えて恐れること、、、そんなことまで恐怖を感じるって、これもヒトの「進化」なのか?
(20) 選挙が近くなると、政治家が有権者の喜ぶことをするのは洋の東西を問わず。正解は2 impending(差し迫った)。言い換えは、upcoming、forthcoming、imminent、approachingなど。準1級でも出題されそうな、正解しやすい問題でした。
(21) コナーはトップレベルのシェフになろうと苦節10年。晴れて自身の店をオープン!正解は4 culminated(頂点に達する)。これも1級ではおなじみの単語。空所に入るのはプラスの意味になるはずが、2と3はマイナスの意味で、1は無関係。選択肢の作り方にも定番感があります。
(22) 通常どおり、ここからの4問は句動詞問題。「アナはもともとはフランス出身だが・・・」となり、正解は1 hails from (~の出身である)。後ろの部分(2語目)だけを見ても、どう考えてもaway、out、intoは合わず、fromだけで正解できそうな出血大サービス問題。
(23) 以前より年配層をターゲットにしていた雑誌が若者も読者にしようと画策中、、、ってそんなに簡単にできるものなのか?正解は4 tap into(~を利用する、開発する)。marketを目的語にした「市場に参入する」はよく使われるコロケーションです。これもintoだけを見れば答えられますね。
(24) リズは顧客と話す中、都度口をはさんでくる相手にうんざり。正解は3 butt in(口出しする、横やりを入れる)。これもinだけで答えられそうな、、、。1級としてはあまりに易しいのではないかとも感じます。
(25) サッカー好きの少年が選手の名前をスラスラと言うことができるという内容で、正解は4 rattle off(~をスラスラ言う)。rattlesnakeは「ガラガラヘビ」なので、イメージは「ガラガラ、ペラペラ」という擬音。offは口から出てくるのをイメージするとよいでしょう。ここでの選択肢は、upが2つ、offが2つでしたので、rattleの意味をある程度知っておく必要はありますが、過去にも出題されている句動詞ですので正解した方は多いでしょう。ちなみに私は子供のころに路線の駅名を暗記してスラスラ言うのが「特技」でした。

大問1番まとめ

 最近ではめずらしいほどに、全体として正解が選びやすいセットでした。20問以上正解の方も多いことと思います。さて、これは果たして英検1級における「令和の改革」の一環と言えるのでしょうか?それは次回を見てみないとなんとも言えません。
ただ、言えるのは「1級の語彙問題は決して無理な出題ではない。準備をしておけば必ず高得点が狙える!」ということでしょう。これは、これまで語彙問題を見て受験を躊躇していた方には大きな朗報ではないでしょうか?大丈夫!朗報のあとに悪報が続くことはありません。euphobiaにご注意を!
 大問1番で出題されている単語はどれも普段から新聞・雑誌などで見かけるものばかり。「読む・書く・聴く・話す」4技能すべての基本となるものですので、しっかりと定着させておきたいところです。コツは「リアルな英語から楽しみながら」でしょうか?イヤイヤ覚えようとしても英単語たちは逃げていってしまいます。

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[2]長文の語句空所補充問題

1題目 : Gentrification

 貧民街の高級住宅化によって起きる社会問題について。タイトルを見て「?」と思ったかも知れませんが、パッセージ最初で明確に説明されています。動詞がgentrify「~を高級化する」。パッセージ、設問ともに易しめです。
 (26) 低所得者の住む地域に裕福な階級の人口が流入すると、彼らの需要に応じて物価が上昇し、結果として貧困層の住民を追い出すことになる。正解は3。第1パラグラフ最後のevictions、involuntary relocationsがヒント。
 (27) 第1パラグラフでは「在来居住者の追い出し」というマイナス面があげられていました。第2パラグラフ1行目に howeverがあるので、空所にはプラスの内容が入るはず。劣悪化していた地域が新たな住民を迎えることで地域が再開発され、活気を帯び、経済効果も。正解は1番。gentrificationによって都市の荒廃をくい止めることができる。なんとたったの3語(combats urban decay)です。以前と比較すると短い選択肢が多くなっています。
 (28) 第3パラグラフは、gentrificationに頼らずとも、地元住民が結束を強めることで都市の活性化を計ることができる、との内容。それらをまとめているのが、最後のIn this wayから。正解は4番。選択肢の its undesirable effects とは、貧民街の高級化により物価が高騰し地元住民が住む場を失ってしまうこと。3問どれも素直な問題でした。

2題目 : Film Noir

 1940~1950年代にハリウッドで多く作られた「フィルム・ノワール(暗黒映画)」やその背景について。前回に引き続きこのページは映画界からの出題となりました。お好きな方にはたまらないですね。なかなか引き込まれるパッセージでした。「フィルム・ノワール」は犯罪、暴力、差別などを扱った映画のジャンル。「ノワール」とはフランス語で「黒」。すぐに思い出すのは、フランスの赤ワイン「ピノ・ノワール」。果皮が黒いブドウの品種を使っています(←英語とは無関係ですが)。
 (29) 第1パラグラフの後半、第2次世界大戦やその後の核の脅威により社会全体が不安を覚える中、このような暗い映画ジャンルの誕生は時代を反映するものだった。正解は4番。わかりやすい問題です。
 (30) 第2パラグラフ最初で、フィルム・ノワールにおいては光と影を巧みに使う撮影技術が特徴だとしている。また、後半のIn fact以降では、ランプのon/offの切り替えによって登場人物の心情が象徴的に表されている、とあることから、正解は2番。
 (31) 「フィルム・ノワール」の呼称を考えたのは、この時代のハリウッド映画の共通点を見出したフランス人批評家。そしてその概念が大西洋を渡りアメリカに広まったのは後のこと。第3パラグラフ後半、however以降の内容から正解は4番。「フィルム・ノワール」の作品には確かに共通要素もあるが、相違点(enormous diversity)も多い。したがって「フィルム・ノワール」は映画の「ジャンル」としてではなく、制作された「時期(period)」により分類されるのがよいのではないかとの意見も。

大問2番まとめ

  2題ともかなり読みやすく、選択肢も素直です。このところ易化傾向の空所補充問題ですが、今回も易しいと言えるでしょう。選択肢が短くなっているのも注目に値します。それでも、短いパッセージですがその内容の充実度やテーマの面白さには相変わらず驚かされます。ブラボー!!

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[3]長文の内容一致選択問題

1題目: Reductionism versus Systems Thinking

  「還元主義」と「体系的思考」。サイエンス、テクノロジー、環境問題などに絡めた壮大なテーマとなりました。話題としては読みにくいかも知れませんが、パッセージ・設問とも難易度は普通です。
 (32) 第1パラグラフ冒頭部分から、還元主義とは、複雑な事象を簡単な基本的事例により単純化して説明づけること。この方法における利点はパラグラフ下から3行目のreductionism allows ... に書かれています。研究結果が外的要因によって影響を受けないことから、正解は1番。
 (33) 還元主義は遺伝学において支配的になってはいるが、それに異議を唱えたのがイギリスの生物学者デニス・ノーブル。Wikipediaに写真が載っています。ワインを片手にお洒落なジェントルマン。現在82歳。ノーブルの主張は、第2パラグラフ中程から「システムの構成要素の相互の関わりは必ずしも明確ではないが、それはシステム全体の機能に影響を与える重大な要因となり、決して軽視してはならない。」というもの。したがって正解は2番。ここは言い換えを見つけるのがポイント。本文でのinterplayが選択肢ではinteractionsに、componentsがaspectsに、apparentがobviousに、それぞれ言い換えられています。難しいですが、ノーブルさんの「ノーブルな」お顔を拝見するとホッと和みます。
めずらしく4つのパラグラフから構成されるパッセージでした。通常、内容一致問題の最初の2題は3つのパラグラフ構成で、それぞれのパラグラフから1問ずつの出題です。これも「令和革命@英検」なのでしょうか?
 (34) "systems thinking"の問題点が書かれているのは最終パラグラフ2行目のFurthermoreから。「十分なデータを収集し、個々の基本的要素とその相互関係を理解するのは大変な労力を要する」ことから、正解は3番。本文のa formidable taskが選択肢ではrequire significant effortに、fundamental componentsがbasic elementsに、interrelationshipsがhow ... work togetherに、言い換えられています。

2題目: Jordan Peterson and Bill C-16

 2017年にカナダで通過した法案 C-16は、性同一性に関する差別をなくすことが目的。これに反対したのがカナダの心理学者ジョーダン・ピーターソン。早くもLGBTをテーマにしたパッセージが英検に登場です。大変興味深く考えさせられます。C-16法案についてのわかりやすい3分動画がユーチューブにありました。「Egale explains Bill C-16 (youtube.com)」。合わせて、Jordan Petersonの主張も上がっています。controversialです。「Heated debate on gender pronouns and free speech in Toronto (youtube.com)」。ピーターソン氏はまだ50代。このような動画を見ていると、英検のパッセージがよりリアルな「生きた教材」だと感じられます。歴史物だとこうはいかない、、、それぞれに違った面白さがありますね。ところで、この出題を彼はご存知なのでしょうか?
 (35) ピーターソンが法案に反対した理由は、第1パラグラフ中程 on the grounds that ... 以降。トランスジェンダーの学生に対して"they"を使うことは、違法に表現を強要することにあたり、権利を侵害することになる、という内容から、正解は4番。
 (36) 第2パラグラフに書かれているピーターソンの主張は、急進左派の教授陣が学生にアイデンティティによる闘争意識を植え付け、「抑圧する側・抑圧される側」という構図を作った。さらに、地方政府から国の政治にいたるまで影響を与えている。この内容から、正解は1番。選択肢1番の different parts of modern society は、第2パラグラフ最後に書かれているlocal governmentや(C-16に見られるような)policymaking at the national levelを指しています。
 (37) ピーターソンに反対する側の意見は、C-16の目的はトランスジェンダーの人たちを守ることにある、というもの。しかし、第3パラグラフ後半の内容から、研究によると差別を禁止する法律を作ってもその効果は限定的(have a limited effect)であり差別が無くなることはない。正解は3番。本文の While Cossman is likely correct が、選択肢のWhile以下に言い換えられています。たとえ法律ができても、社会的・経済的不平等は変わるものではありません。選びやすい選択肢でした。

3題目:The Silurian Hypothesis

  「サイルリアン仮説」。もしも地球最初の文明を築き上げたのが我々人類でなかったとしたら?久々の考古学の分野からの出題、、、ですが「歴史物」とも呼べるかも知れません。はるかかなたにさかのぼる地球の歴史。ロマンがあふれます
 (38) 第2パラグラフ、地球の表面は地殻活動により常に変化しており、太古の文明の有無を知るための証拠は乏しい。ネゲブ砂漠は180万年前と比較的新しく、パラグラフ最後の solid evidence of ... is extremely scarce から、正解は2番。
 (39) 第3パラグラフ、SchmidtとFrankはかつて人間以外の生命体が文明を持ち、絶滅したのではないかという「サイルリアン仮説」を立てた。「サイルリアン」は、BBCのSF番組"Doctor Who"に登場する架空の知的爬虫類から。ユーチューブにありました。E.T.のような、、、「The first Appearance of the Silurians! / Doctor Who (youtube.com)」。第3パラグラフ最後、He postulates ... の内容から、もしも高度な文明が存在していたとしたら、人類が現在直面しているのと同様の問題を経験していただろうとSchmidtは考えた。正解は4番。歴史は繰り返す、、、。
 (40) 第6パラグラフ、白亜紀の温暖化により海洋生物は絶滅したが、その後化石燃料が形成され、人類の工業化社会を可能にした。正解は1番。21世紀の温暖化も同じ道をたどるのでしょうか?
 (41) 最終パラグラフの後半 For example以下、種が存続するために、種はどこまでその環境に悪影響を及ぼしても許容されるのか?そこには普遍的な限界があるのかを見極めることが重要。まさに人類が今問われていることです。正解は4番。迷うとしたら3番です。もっともらしい選択肢ではありますが「文明はあるところまで発展すると、種の保存と環境保護を同様に重視するようになる」は本文の内容とはずれています。人間はもっと貪欲!

3番まとめ

 まずは歴史物がなかったことが驚きでした。その代わりにReductionismとSilurianはかなり大きなテーマ、そしてC-16は最新の社会問題からの出題でした。前回、歴史物が2題あったことを考えると今回は読みやすいと感じたのではないでしょうか?選択肢でやや選びにくかったのは、(33)、(36)、(41) です。ただし、本文のヒント箇所を特定し、ゆっくりと言い換えを見つけることができれば無理なく正解できたのではないでしょうか?このあたりは、エッセーとの時間配分にも関わってくるところです。
 今回の空所補充問題はかなり短時間で迷わずに答えられるものでした。内容一致問題であまり時間を使ってしまうと正解できるものを落としてしまいもったいないことになりかねません。大問1番から大問3番のどの1問もCSE2.0に同様に反映されることを意識しましょう。

 Readingセクションについて。大問3番までの41問中の正解数がReadingのスコアとしてCSE2.0に換算されます。まずは、41問中30問の正解を目標にすると良いでしょう。大問1番で20問正解できれば、大問2、3番でわずか10問の正解です。いかに語彙が重要かがわかるかと思います。

 アンケートの最終結果です。やはり語彙問題はよくできた方が多いようです。

質問:大問1番の語彙・句動詞は、前回と比べていかがでしたか?
1) 前回より易しかった: 36%
2) 前回より難しかった: 10%
3) 前回とほぼ同じ: 18%
4) 受けていないが結果を見たい: 36%
167票(最終結果)

 リスニングのアンケートでは、最も難しかったのはPart 2という結果に。ご協力いただきました皆さま、どうもありがとうございました。

質問:リスニングはどのPartが最も難しかったでしょうか?
1) Part 1: 22%
2) Part 2: 38%
3) Part 3: 23%
4) Part 4: 17%
162票(最終結果)

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[4] 英作文

* Write an essay on the given TOPIC.
* Give THREE reasons to support your answer.
* Structure: introduction, main body, and conclusion
* Suggested length: 200-240 words
* Write your essay in the space provided on Side B of your answer sheet. Any writing outside the space will not be graded.

TOPIC :  Agree or disagree: Infectious diseases will become a bigger problem in the coming decades?

 問題冊子の青シールを破った後、試験開始までの数分間「おあずけ」状態となります。(私はいつもここでワンちゃんの気持ちになります。)そして、開始の合図(いわゆる「よしっ!」)とともに問題冊子を開きます。まず最初に確認するのはエッセーのTOPIC。今回のTOPICを見た第一印象は「これはわかりやすい!おそらく書きやすいと感じる受験者が多いだろう」というもの。前回の「Is a worldwide ban on weapons of mass destruction an attainable goal?」や前々回の「Has a university degree in the humanities lost its relevance in today’s world?」と比較すると、はるかにイメージがしやすく身近なテーマです。
今回のTOPICは、「Agree or disagree: Infectious diseases will become a bigger problem in the coming decades(感染症は今後 数十年でより大きな問題になるだろうか?)」。最近話題になっている「はしか」や来年のオリンピック開催などを意識しているものを思われます。TOPICを見て気になった点が2つありました。一つは a bigger problemのところです。もちろん問題はないのですが、biggerは1級としては易しい印象です。more seriousにしなかった理由はなにかあるのでしょうか?わかりやすさへの配慮でしょうか?もう一点は、最後のin the coming decades。前回の「大量破壊兵器の世界的禁止は達成可能か?」のTOPICでは、deadlineの明示がなく「いつまでに達成?」が明確ではありませんでした。それが今回は in the coming decades と加えられていて安心です!一方で前回の「大量破壊兵器の禁止」との共通点は、非常に大きなテーマであること。日本だけでなくグローバルな視点で考えていく必要のある問題であることは共通点としてあげられ、2次試験のTOPICも含め英検1級では意識して対策をする必要があります。
 TOPICを理解したところで、Agree/disagreeどちらの立場で書くのかを決めます。どちらにしても理由を3つ挙げる必要がありますので、思いつくまま考えられる限りのアイデアを書き出しながら立場を決めるのが良いでしょう。その際に、書き出した理由を英語で表現できるか?具体例などでサポートできるか/なども考慮します。ちなみに今回、私も理由を考えながら「検疫強化」が頭に浮かんだのですが"quarantine"のスペリングにどうも十分な自信が持てず、避けることにしました。
 Agreeの立場で「問題はより深刻になる」とするのであれば、1) グローバル化により「人・物」の動きが活発になる、2) ワクチンの不足、3) 予防接種が徹底していない (副作用の心配)、4) 治療薬が効かない(耐性菌の出現)、5) 人口増加により「人と人」「人と動物」の接触が増える、6)発展途上国における衛生状態(上下水、トイレ設備etc.)、7)医療保険制度が十分でない国が多く存在する、などが考えられます。できるだけ具体的にサポートしやすい理由を選ぶとよいでしょう。
 Disagreeの立場で「問題が大きくなることはない」とするのであれば、1) 医学の進歩により感染症の治療・予防が徹底している、2) 空港・港での検疫が強化されている、3) インターネットにより情報が入手しやすい、4) WHOによる世界規模での取り組み、5) 国際的な協力機関による活動(予防接種の知識、保健教育etc.)、などが考えられます。
 このようにAgree/disagree両面を考えることは、エッセーを書く上でもかなり有効です。たとえば、「確かに発展途上国の衛生状態はよくないが、JICAなどの活動によって・・・」または「治療薬も開発されてはいるが、実際には耐性菌の出現によって効かないことも・・・」などのように書くこともできます。今回のエッセーは比較的書きやすかったとはいえ、前回と同様にグローバルな視点を必要とする大きなテーマが出題されました。今後もこのような傾向が続くような予感。1級のエッセー対策として、普段から国際問題には耳を傾けておかなければなりません。
エッセーは「内容・構成・語彙・文法」の4つの観点が各8点満点(合計32点満点)で採点され、それがCSE2.0のスコアに換算さ れます。Reading(大問1、2、3)での1問はCSE2.0に換算すると「合格点」あたりでは5点ほどに相当しますが、Writingでの1点はCSE2.0では15点以上に相当します。エッセーは時間切れにならないよう、必ず最後まで書くことが合格のためには必須条件です。そのため、Readingパートとの時間の兼ね合いには十分に気をつけて解答を作成するようにしましょう。そして、書き終えたあとには見直しもどうぞお忘れなく!

 

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以下2019/06/12追加

[5]リスニング

Part 1

No. 1 採用面接を受けて来た女性に夫が感想を聞いています。採用が決まりそうで収入も申し分ないのですが…。女性の発言のBut以下で問題がありそうです。金銭に執着する社長が気になる様子。顧客のことをsuckers(カモ)と呼んでいたこともあり、採用通知が来ても辞退する予定です。男女の意見が異なる会話パターンですが、質問は女性の心配事について。He (= president) didn’t sound sincere to me. の言い換えで正解は2番。1問目から長めの会話でした。
No. 2 サラにとってボブは単なる友人であったにも関わらず、ボブはサラと付き合っていると言いふらしていました。根も葉もない噂をたてられたサラが怒るのは当然です! 正解は3番。He’s telling everyone we were going out を lying about their relationship に言い換えています。不正解ですが、2番の選択肢「携帯メールで別れる」は今どきの若者か? blurt out「うっかり口走る」。
No. 3 収賄容疑で逮捕された上院議員の裁判の行方に関して、男女の意見が異なっています。女性は、これだけ不利な証拠があげられているのだから、当然彼は罪を認めるはずだと考えていますが、男性は有能な弁護士を雇って法廷で争うことになれば無罪を勝ち取るかも知れないと話します。2人の意見が異なる場合には質問文をしっかりと聴き取りましょう。女性の考えを問われていますので、正解は4番。裁判関連の表現が多く使われています。plead guilty「罪状を認める」、get off「(罰を)免れる」、fight the charges「法廷で争う」。
No. 4 日本に10年以上住むクレイグが妻の仕事を理由にアメリカに戻ることになりました。アメリカで何をするのか問われた男性は、I’m looking forward to being a househusband for a while. と答えていることから、正解は1番。しばらくは仕事(paid employment)をせずに「主夫」を楽しむようです。こちらも今どき風。
No. 5 職場でコピー機が壊れたときにキャロルが修理をしてくれました。なんでもできるキャロルを女性は高く評価し、She never ceases to amaze me. (キャロルにはいつも驚かされる)と言い、男性も同意していることから正解は2番。「いつも驚かされる」→「なんでもできる(She has many talents.)」と言い換えています。男性の最後の発言から、次回の人事評価によりキャロルの昇進は予想されますが、1番の選択肢では「すでに昇進した」ことになるので不適切です。慌てると選んでしまいそうな選択肢でした。
No. 6 飼い猫を予防接種に連れて行かなければいけないと言う女性に対して、男性はいつもの獣医(vet = Doug)は高いので、、、と渋っています。獣医を変えたくない女性は、支払い方法を相談してみてはどうかと提案します。男性もこれに同意し、分割払い(installments)にしたいと発言していることから、正解は2番。会話は「問題」→「解決」のパターン。What do these people decide to do? はこのパターンでよく見られる質問です。
No. 7 足を引きずる男性を心配する女性。バスケットボールの練習中に膝を痛めたという男性に対して、女性がいくら「もう若くはないのだから…」と言っても全く聞く耳を持ちません。それどころか、関節を保護するためにもっと筋肉をつけないと! とウェイトトレーニングに励むというので、女性もお手上げ (I give up!)です。質問では女性の意見が問われていますので、正解は1番。3番は男性の考えです。男性の最後の発言では仮定法が使われています。「もっと筋肉があれば、あんなことにならなかったのに…」という気持ち。Part 1の会話でも仮定法はそれなりの頻度で使われますので、注意して聴き取るようにしましょう。wake-up call「警告、注意喚起」。
No. 8 冒頭で男性がsavings accountsについてたずねていますので、この部分ですぐに銀行での会話だろうと想像できます。女性はInvestPlus accountを勧めますが、金利は市場実績に左右されるため、男性は固定金利(fixed rates)の方を選びました。正解は3番。会話でのdependent on market performanceが、選択肢ではsubject to change(変更の可能性がある)に言い換えられています。
No. 9 彼氏との関係に悩む娘が父親と話しています。常に自分の意見を押し付けようとし、思い通りにならないと怒り出す彼氏と別れようかと考える娘に父親も同意します。シリアスな話ではありますが、同時にある意味ほほえましい父娘の会話です。質問では父親の考えが問われているので、正解は1番。reconsider her relationship(関係を考え直す)は、ここでは彼氏と別れることを意味しています。last straw「我慢の限界を超えさせるもの」、part ways「別々の道を行く」。
No. 10 職場での3人の会話です。3人の勤務する会社が新製品として売り出すタブレットをハイスペック / ロースペックのどちらにするべきかを議論しています。質問が、What is Trevor’s concern regarding … ? と読まれたときに、一瞬「えっ?トレバーってどっち?」と思ってしまいました。男性2人と女性1人の3人の会話でのこのパターン(男性のうちの1人について問われる)はめずらしいことです。会話の中ほどで、トレバーがit (= the high-spec model) might eat into sales of our computers and digital cameras. と言っている箇所がヒントとなり、正解は1番。eat intoをhurtに言い換え、the company’s other productsはコンピューターやデジカメのこと。3番はエマが心配していたことです。lightning fast「電光石火の」、eat into~「~に食い込む、~をむしばむ」、lose ground「支持を失う、敗退する」。

Part 1まとめ

   特に驚くこともない、通常どおりの出題でした。全体的にゆっくりと話されていますし、会話の内容も聴き取りやすかったのではないかと思います。前回のセットと比較して気づくのは、仕事関連の会話が少なかったことです。前回は半分に当たる5問あったのに対して、今回はわずか2問。一方で増えたのが家族(夫婦・親子)や友人同士の会話です。これは今後どうなるのか注目されるところです。
 やや聴き取りづらかったのがNo. 3とNo. 7、意外と選択肢を選びにくかったのはNo. 5とNo. 10です。No. 5のような短い会話はかえって聴き取りが難しい場合があります。状況判断ができないまま終わってしまうこともあるからです。Part 1ではとにかく、最初の発言で2人の関係と会話が行われている場所を特定することが重要です。常に神経を集中して会話の出だしを聴くように心がけましょう。

Part 2
  1. : Tiny Species, Big Discoveries
    No. 11 これまで生物学者は自然界の生物を発見し研究してきたが、「ゲノムビニング」と呼ばれる新たなDNAの分析方法によってこれまで知られていなかった生物が数多く発見されるようになった。正解は4番。
    No. 12 ゲノムビニングにより極小のバクテリアの発見も可能になった。これらのバクテリアの代謝系は非常に単純であるため、生存のためには他のバクテリアに依存しなければならない。正解は3番。「ゲノムビニング」という聴き慣れない用語は含まれていますが、パッセージとしては難しくなく、正解も選びやすかったと思います
  2. :The Ivory Trade
    No. 13 象牙の取引は1990年に禁止されたが、2009年に国連が一度限りの販売をアフリカ諸国に許可した。これは象牙の違法取引を防ぐことを意図するものだったが、実際にはこれにより象牙の購買は違法ではないとの印象を消費者に与えてしまい、象の密猟件数は増加した。正解は2番。being killed unlawfullyをillegal elephant huntingに言い換えています。
    No. 14 中国で象牙製品の製造・販売が禁止されたことで、象牙の需要が減少し、ヤミ市場価格が下落。ところが、違法業者はあきらめることなく、象牙を密かに貯蔵し、価格の回復を期待していることから、正解は2番。in the hope that prices will recoverをuntil prices riseに言い換えています。 。
  3. : Coronal Mass Ejections
    No. 15 CME(コロナ質量放出)は大量の磁気粒子が太陽から宇宙空間に放出される現象。1859年の太陽嵐(the Carrington Event)では、電磁嵐が地球上の電信網に影響を与えたとされている。テクノロジーに依存する現代社会ではどれだけの影響をもたらすかと心配されるが、そのリスクは少ない(remote)とこれまでは考えられていた。その後、第2パラグラフでこれをhoweverでくつがえし、最近の研究ではCMEs are not such a rare phenomenonとしている。なんと、1問目の正解部分が第2パラグラフの冒頭という非常にまれなパターンでした。正解は4番。太陽嵐並みに戸惑ってしまいそうな問題です。
    No. 16 2012年にはCMEのニアミスがありました。Had the CME occurred a week earlier … と仮定法を使い、「もしも1週間早く起きていたら、地球に影響を与えていただろうに…」としています。実際には影響を受けなかったので、正解は1番。CMEという身近ではないテーマに加えて、パッセージも難しい問題でした。
  4. :The Cobra Effect
    No. 17 「コブラ効果」とは、問題を解決しようと意図したことが思わぬ結果を生み出し、かえって問題を悪化させてしまう現象。用語の由来はコブラの数を減らそうと考えたインド政府が、死んだコブラの皮に対して報奨金を与えたことから。実際にはわざわざ野生のコブラを捕まえるのではなく、コブラを繁殖させて殺すということが行われたため報奨金はなくなり、行き場のなくなったコブラは野生に放たれることに。結局コブラの数は以前より増えてしまった。正解は3番。take advantage of it (= the Delhi government’s program) は、コブラを繁殖させて殺すこと。
    No. 18 第2パラグラフでは、いきなり企業でのインセンティブの話に移ります。「コブラ効果」を避けるための方法として、単に結果に対してインセンティブを与えるのではなく、いかに結果を生み出したかという方法を評価対象にするようにと専門家はアドバイスしている。正解は1番。選択肢の言い換えも難しかったと思います。“what”ではなく“how”がポイント
  5. :Data Centers
    No. 19 大量のデータを保管するため、多くのサーバーが存在しているが、実際には使われていないサーバーも多く、待機した状態にしておくために多くのエネルギーが使われている。正解は4番。これは易しい問題でした。
    No. 20 本来ならサーバー会社が協力して効率化を図るのが好ましいが、Its competitive nature discourages the sharing of scientific and engineering know-how, とあることから、正解は1番。知識の共有がされていません。これもわかりやすい問題でした。
Part 2まとめ

 難しかったのは、(C)と(D)です。内容が想像しにくかったことに加え、特に (C) はイギリス人のナレーターで聴き取りにくかったかもしれません。第2パラグラフから2問の出題があるのも非常にめずらしいことです。その他は通常どおりの難易度。生物、環境、宇宙、社会、ITの分野からの出題も英検らしく、どれも興味深い内容です。
 Part 2の質問文はWhatで始まることが多いですが、今回もすべてWhatの疑問文でした。選択肢は、No. 18を除いてすべてセンテンス。長めの選択肢が並んでいますので、すばやく読んで言い換えを見つけなくてはなりません。今回は (C) のCMEでつまずき、その後ペースをくずしてしまった受験者が多かったであろうと想像します。どのパートでも言えることですが、各問題は独立していますので、わからない問題があっても即座に気持ちを新たにして次の問題に向き合うことがとても重要です。

Part 3
  1. 屋根の雨漏りをどうにかしなければなりません。条件は、(1)予算が2,000ドル、(2)長期的な解決策であること、の2つ。
    No. 21 業者の調査により、天窓(skylight)には問題がなく、雨漏りは煙突と屋根の平らな部分(flat part)からであることが判明。煙突を撤去し屋根の雨漏り部分のみの修理だと1,100ドルですが、屋根の平ら部分全体を取り替えると10年の保証がつき安心。しかも予算内の1,700ドルで収まります。傾斜部分 (sloping roof area)まで修理すると予算オーバーなので、正解は1番。素直な問題でした。
  2. オーストラリアの企業がフィリピンにオフィスを開設します。条件は3ヶ月以内であること。
    No. 22 コンサルタントのアドバイスから、オーストラリアの経営者側とフィリピンの地元スタッフとの間に緊張関係を作らないことが重要。そのためには、フィリピン人のマネージャーを雇うことが理想的ですが、開設までに6ヶ月は必要となります。If it’s more urgent, 以降が解答のヒント。1年間の期間限定でオーストラリアからマネージャーを送り、地元のフィリピン人マネージャーを育てるという方法が提案されていることから、正解は3番。send some current managers from here over to the Philippines for a year のhereはオーストラリアのことであることを理解しなければなりません。グローバル化の波がListening Part 3にまでやってきました!
  3. 足首を怪我したため、医者から今後のアドバイスを受けています。条件は、12週間後には10キロマラソンに参加すること。12週間が「3ヶ月」に言い換えられるかも?と思いながら聴きました。(はずれましたが…)
    No. 23 これは珍しいパッセージでした。足首を捻挫した“You”がすべきことを時系列で順番に述べています。決して聴き取りが難しいわけではないのですが、次々にすべきことが出てくるので、聴きながら混乱してしまいそうです。(1)最初の2日間は脚を高い位置にして冷やす、(2)その後リハビリを開始し、1週間は平らなトレッドミルを使用、(3)1週間後には、軽い傾斜を試し、問題ないようならトレッドミルでの軽いジョギングを2週間、(4)外での軽いジョギングを2週間、(5)それで問題なければ通常のランニングが可能。行動だけでなく、「2日間」「2週間」「2週間」などが次々と出てくるので、焦らされるようなパッセージです。このような「期間」がそれぞれの選択肢にも含まれますが、正解は比較的単純な1番。2日後にはリハビリを開始できます。こんなに多くの情報を突然言われても患者さんも混乱するだろうと思います。これまでにないタイプの「難問」でした。
  4. 新しくチームに加わったPeter Kellyに関して人事部長から話を聞いています。 “You”はPeterとは良好な関係にあります。
    No. 24 Peterは、資料の剽窃(ひょうせつ)が原因で前職を解雇されました。同様のことが起こってはいけないと心配した人事部長は、Can you go over the work he’s been involved with? とこれまで彼の関わった仕事をチェックして欲しいと頼んでいます。したがって、正解は4番。it’s important to keep this between us for now と人事部長が言っていることから、3番は不適切。これは易しい問題でした。
  5. 愛犬ソフィーが苦しそうに呼吸をしています。6ヶ月前の検査ではアレルギーはありませんでした。獣医の話を聞きます。
    No. 25 CTスキャンにも言及していますが、 It’s likely to be something simpler と言った後、1年以内にアレルギー検査をしていなければ、検査の必要あり。(これもクリア)Also後に解答のヒントがあります。Dental problems can certainly affect the respiratory system … などから、正解は3番。ワンちゃんたちも「歯が命…」。医療関連の単語がやや聴きにくいものの、通常レベルの問題です

Part 3まとめ

 最近のPart 3の傾向としては、(1)シチュエーションに複雑な条件が含まれない、(2)数字がらみの問題が少ない、(3)選択肢が長い、が挙げられます。今回も、どの問題も条件は非常に少なく、金額が条件に含まれていたのは(F)のみ。ただ、(G)「3ヶ月以内」、(H)「12週間後」、(J)「6ヶ月前」という日数の条件がありました。(H)にいたっては、パッセージの中でも日数が多く登場し、内容を複雑にしていました。また、以前は選択肢が名詞であることも多く、短かったのですが、最近は動詞句が圧倒的に多く、それにともないPart 3の選択肢がますます長くなっています。リスニングのパートとは言え、Situationとともに選択肢を多く読まなければなりません。
 前回は比較的易しかったPart 3ですが、今回は (G)、(H)あたりが答えづらく、やや難化でした。毎回、手を替え品を替え工夫した問題が出題されています。集中力が切れてくるころですが、目と耳に神経を集中して5問中4問は正解したいところです。


Part 4
 

 日本でコミュニケーション・コンサルタントとして働くJames Norton氏にインタビューをしています。在日の外資系企業を主なクライアントとし、企業のビジョンや戦略の伝え方などに関するアドバイスを行なっています。彼自身はボソボソと話すタイプでやや聴きづらい印象です。
No. 26 インタビュー中ほどで、コミュニケーション・コンサルタントの仕事をする上での難しい点(one of the main challenges)を聞かれています。これはPart 4ではよくある質問で、この部分がそのまま質問の答えとなることも少なくありません。外資系の企業は本国でのコミュニケーション方法に多少調整を加え、日本で実践しようと考えます。I think the biggest challenge for them is … からが解答部分で、メディア対応などに際して、西洋の考え方から脱却することが難しいとしていることから、正解は4番。日本でのやり方が西洋とは異なることをcultural differencesと表現しています。
No. 27 続くインタビュアからの質問は、企業はそのイメージや評判に十分な配慮をしているか、というもの。「そうは思わない」とした上で、最近では資産運用会社が投資先の企業に評判管理を徹底し、スキャンダルなどは回避するよう求めていることを例にあげていることから、正解は3番。企業は良い評判を維持するようにプレッシャーを受けています。2問ともインタビューが聴き取れていれば、他に迷う選択肢はありませんでした。 。

Part 4まとめ

 あまり魅力的な話し方とは言えず、やや早口であったため、集中力の限界に近づいている受験者にとっては聴きづらかったのではないかと思います。ただ、インタビュアに対する応答はどれも想定内であり、難しい表現も使われていません。これらを総合して考えると通常どおりの難易度でした。選択肢も以前よりも短く、短時間で無理なく選べるものになっています。
 Part 4は、リスニングの中でも回による難易度の変化が最も激しいパートです。ゲストの国籍や話し方もさまざまですが、常に英検1級のレベルで聴き取れるべき範囲内の出題になっています。普段からさまざまな発音に慣れておくことが効果的な対策になるでしょう。

 

CEL 英語ソリューションズ

田中亜由美

(2019/06/12更新)

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