「英語総合力養成講座」~英検準1級、そして1級へ~

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■第5回:英語を「話す」~日常英会話から一歩先にむけて「話すインプット」を

CEL英語ソリューションズ 最高経営責任者
曽根 宏

「話す」インプットの重要性


第1段階の次の「話す」訓練では、第1段階で目をつぶった不適切な文法、構文、語彙の克服、言い換えれば「表現力欠乏症」の克服が課題となります。これが「話す」訓練の第2段階です。

<第2段階:表現力欠乏症の克服段階>

英検1級2次試験のスピーチに象徴されるように、社会、経済、政治、国際、文化などの幅広い分野について、ある程度抽象性があり、知的レベルの高い話を、自分の意見や主張を入れながら、論理的に口頭で行うために必要な訓練は、私が「話すインプット」と呼ぶ方法、つまり「1人で話す」訓練を置いては他にありません。

ご存じのとおり、この「話すインプット」の訓練はプロの通訳の育成方法として長年定着しているものです。具体的には、英語の文章の朗読から始まって、Repeating/Shadowing/Retentionといった手法です。これらの「話す」訓練は、いずれも外国人と一緒に行う訓練ではありません。会議通訳や同時通訳の養成クラスをご覧になったことがあるでしょうか。そこには、外国人の講師は1人もいません。第1段階の「生身の外国人」と話す訓練が「話すアウトプット」であるのに対して、この第2段階は、1人で行う話す訓練なので「話すインプット」なのです。

この「話すインプット」と「話すアウトプット」のイメージは、筆者が以前勤務していた経営コンサルティング会社で体得したものです。夜遅く残業をしていると経営幹部(日本人)の部屋から、英語のスピーチが聴こえて来ることがしばしばありました。こんなに夜遅くに、どこのお客さまが来ているのだろうと不思議に思って覗いてみると、その幹部が1人で、声を出して演説していました。翌日の顧客に対する英語でのプレゼンテーションの予行演習をしていたわけです。彼のような百戦錬磨のベテランであっても、公式の場で英語でプレゼンテーションをする際には、入念にリハーサルをするものだと感心しました。その姿勢を見習って、以降、自分が英語でプレゼンテーションする時には、前夜に本番と同じ時間を使ってひととおり練習する習慣としました。前夜の1人で行う予行演習が「インプット」、本番は、生身の外国人を相手にした「アウトプット」というわけです。

筆者が長年携わって来た国際ビジネスシーンで要求される「話す」能力は、まさにこのような「話すインプット」の訓練なくしては決して身につきません。つまり第1段階の英会話レベルでは、せいぜい仕事が始まる前の挨拶と世間話にしか対応できません。仕事が始まってからの英語力、すなわちプレゼンテーション、スピーチ、会議、商談、交渉などの場での英語は、入念な準備(インプット)なくしては、満足行く成果(アウトプット)はありえません。

みなさまも、外国人との英会話に慣れて来られたら、そこから一歩脱して、是非「話すインプット」の訓練を「1人で」続けていかれるようになさってください。頭に思い浮かんだことを英語にして口に出してみる、外を歩いていて目に止まった風景を英語にして口に出してみる、筆者はこれを「1人通訳」と言ってますが、このような日常生活の中での気軽な訓練もよいでしょう。筆者もこの「1人通訳」を日課にしていた時期がありました。後になって、プロの通訳の方や英語の達人と呼ばれる方々にお話しを伺ってみると、同じように「1人通訳」をやっていた事がある人が多いので、その効用に確信を持ちました。

「1人通訳」の積み重ねで、いかなる場面でも、正確な英語で自分の意見/主張を論理立てて、相手にわかりやすく話す能力が身に付くこと請け合いです。

Have fun speaking English by yourself!


さて、いかがでしたでしょうか。

第6回(最終回)は、『国際舞台で通用する本物の英語力とは』をお届けします。

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*本稿は、「STEP英語情報」(日本英語検定協会発行)に掲載されました連載記事に、加筆修正を加えたものです。
*今後、毎月初めに本コラムに掲載して参ります。

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