「英語総合力養成講座」~英検準1級、そして1級へ~

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■第6回(最終回):「国際舞台で通用する本物の英語力とは」

CEL英語ソリューションズ 最高経営責任者
曽根 宏

今回6回目は、本コラムの最終回になります。締めくくりとしまして、「日本人として身につけるべき英語」をテーマにお話しさせていただきます。

筆者は、現在でこそ成人対象の英語教育の会社の経営をしておりますが、筆者自身は英語教師の経験はなく、英語に関して言えば、常に学ぶ立場で、かつ長年にわたってビジネス上英語を使ってきました。

その経験をもとに、大手企業や最近では全国の高校・中学の英語教師の方々を対象に、「国際ビジネスシーンで通用する本物の英語力とは」を演題にして、講演活動を行っております。日頃より、私がCEL英語ソリューションズや社外で講演した際に、参加者のみなさまから良く受ける質問にお答えする形で、最終回のコラムを進めてまいります。


国際舞台の実践の場で必要とされる英語力のレベルは?

筆者が以前勤務していた会社で海外プロジェクトに携わっていた時の上司の1人は、会社きっての英語使いで、海外の顧客や提携先の外国人などからは「タフ・ネゴシエーター」と恐れられていた人でした。もう15年も前の頃のことなのですが、今でも良く覚えているのは、その上司は、外国人相手に、困難なビジネスの交渉の席に着くと、わざとゆっくりと英語を話して、自分のペースに引き込んで行きます。ネイティブの相手がどんなに早口で英語をまくしたてようと、それに巻き込まれることなく、日本語で「え??っと」などと言ってから、おもむろに「ゆっくり、はっきりと」英語を噛み締めながら、論理立てて、相手の反応を確認しながら話すのです。時には、その当時は下っ端であった筆者を「通訳」に使います。そうすることによって、彼は考える時間を作り、交渉の道筋を自分たちが有利になるように導くのです。私が通訳する内容も外国人が話す内容も含めて、交渉の場で発せられる発言を、彼はすべて100%理解しているのに対して、外国人側は、日本人側が発言する日本語と私が日本人側に日本語で通訳する内容は、まったく分からないという状況になるわけです。こうして、議論は自然と彼(日本側)に有利に進んでいくのです。彼がタフ・ネゴシエーターと呼ばれる所以です。(余談ですが、その場で彼の通訳をする筆者自身にとっては、自分より数段英語力のある人の通訳をするというこの仕事ほど辛い通訳の経験は、後にも先にもありませんでした。)一方で、交渉が終わり、夜、懇親会などの席で食事をしながら英語を話す時には、彼は「日本人英語丸出し」で、経済、文化、歴史、社会など幅広い分野の話題を提供して、場を盛り上げるようしゃべりまくるのです。こうして彼は、ビジネスパートナーの外国人に恐れられると同時に、全幅の信頼と信用を勝ち取ることができ、ビジネスもうまく行ったのです。ちなみに、彼の英語力は、すべて日本国内で培われたもので、海外在住経験も留学経験も、彼にはまったくありませんでした。

ここで、大切なのは、ただ単にゆっくり話すということではありません。相手に分かりやすく、論理的に、かつ説得力豊かに話すということです。それはまた、豊富な知識と教養に裏打ちされた全人格の勝負でもあります。

その点、上述しました筆者の元上司の豊富な英語の語彙力、また英語の読み・書きの能力は、海外留学から戻って来たばかりの当時の筆者がその足下にも及ばないほどの高いレベルでした。筆者が草稿した英文レターや英文ドキュメントなどが彼によって真っ赤に添削されたのも、今では懐かしい思い出です。

Emailでのコミュニケーションが格段に重要になった現在、ビジネスで必要とされる英語力、言い換えればビジネスシーンで通用する英語力は、単に簡単な英会話ができる程度ではお話しになりません。正確に読み、書き、聴き、話す英語の総合力が求められるわけです。中途半端な英語力は、ビジネスの上では、百害あって一利なしです。

日本人英語でほんとうにいいのか?)>>