2021年度
通訳ガイド(全国通訳案内士)2次試験レポート

受講生2

(0) 集合時刻

10:00受付

(1) 試験会場到着から試験室入室までの手順

・自宅から電車3本乗り継いで1時間半ほどかかるので、最近各地で地震が発生していることや日ごろから遅延の多い中央線を利用すること等から電車不通や遅延の可能性を考えて、早めの時間に自宅を出発。8時頃には武蔵境駅に到着。9時過ぎまで同駅構内のカフェで過ごす。実際当日の12時半ごろに関東地方で地震があり、帰りの電車に一時運転見合わせと遅延が発生。午後遅くの受験者に影響がないか心配した。
・9時半ごろに会場の東京外大に到着。受付があるアゴラグローバル付近のベンチで受付時間まで待機。10時直前に、指定された窓口番号ごとに入口前に整列するようスタッフから指示。受付場所(エントランスホール)には蜜を避けるために3人ずつ入室。受付番号は13-(2)。13は試験室番号。以降、解散まで携帯の電源オフが指示される。
・1階の大ホールで指定された場所に1席ずつ間隔をあけて着席。全部で100人弱くらいか。受付で渡された注意事項を見て過ごす。ここではまだ参考書等の閲覧可。
・10:30から注意事項説明。スタッフが前出の注意事項を読み上げ。
・トイレに行きたい者は、スタッフに誘導されて10名ずつトイレに行く。
・10:45受付番号(2)の受験者が集められて、隊列を作ってスタッフの誘導で別棟の試験直前控室へ移動。試験直前控室は中程度の階段教室。受付番号(2)~(4)の受験者が集合。
・11:15ごろ、受付番号(2)の受験者がスタッフに誘導されて2階へ移動。試験室番号が示された席で待機。11:25ごろ、試験室番号13のドア前の椅子で待機するよう指示あり。ほどなく試験室内からドアが開き、日本人試験官からplease come in.と声がかかる。
・笑顔(を作ったつもり)でGood morning!と挨拶して入室。
・試験室は窓側の机向かって左に外国人試験官(以下F)、右に日本人試験官(以下J)。廊下側の机にはA4紙数枚とペン2本。椅子3脚。Jより椅子に荷物を置いて着席するよう指示。Thank youと言って着席。

(2) 試験官の性別、推定年齢、(外国人面接官はアクセントから判断して)国籍

Fは男性。50歳前後。小太り。国籍は何となく英国人風。
Jは女性。50歳前後。ほっそりとして優しい感じ

(3)自己紹介等のイントロのやり取り

Jから英語で名前、誕生日、住所をまとめて聞かれたが、やや声が細く、マスクをしているせいか、住所の部分がやや聴き取れず。Where do you live? ではなく、「今日はどこから来たのか?」というようなことを言ったようだったが、comeぐらいしか聞き取れなかった。一瞬聞き返そうかと思ったが、現住所以外を聞くとは思えなかったので、間違っていたら聞き返されるだろうと判断して現住所を答えたら、Jはうなずいて再質問はなかった。その他の質問は無し。

(4) プレゼンテーションの3つのトピック

・酉の市
・五島列島
・かっぱ巻き

(5) ご自身の選択したトピック

一瞬迷ったが、後の質疑がやりやすいと考えて「かっぱ巻き」を選択。

(6) ご自身のプレゼンテーションの再現

かっぱ巻きは巻き寿司の一種。キュウリのスライスをコメと海苔で巻いてある。「かっぱ」とはなにかご存じないかもしれないが、河童は伝説上の妖怪(demon or monster)である。しかし、河童は可愛くて(cute)、川や水辺に棲んでいる。なぜだか知らないが、河童はキュウリが大好きであり、これにちなんでキュウリの巻き寿司はかっぱ巻きと呼ばれている。かっぱ巻きは多くの子供の好物で、おいしくて値段も安いので、親にとってもaffordableである。(ここで両試験官ともに笑顔)寿司には様々な種類があるので、あなたにはかっぱ巻き以外の寿司も是非食べていただきたい。

(7) Q&Aのやり取りの再現

F:かっぱ巻きには生魚は入っていないのか?
当方(以下A):生魚は入っていない。巻き寿司にはいろいろな具があるが、生魚を入れる
と寿司の名前自体が変わる。かっぱ巻きはキュウリのみが入っている。
F:○○の巻き寿司はあるのか?(○○が聞き取れず)
A:Pardon?
F:Egg(「アグ」という感じに聞こえた)。
A:?(という顔)
F:Egg。
A:ああ、玉子!私は玉子だけの巻き寿司は見たことがないが、玉子にキュウリや生魚などを巻いたものはある。それは太巻きと呼ばれる。
F:(日本語で)Futomaki?
A:太巻きはbold sushi roll(なぜかこの単語が浮かんだ)、あるいは(両手の指で太い輪を作りながら)big sushi rollのことです。
F:ああ、bigね。(と笑顔)

(8) 通訳の日本文

Jが以下の文章を読み上げ。
「近年日本では寺や城に宿泊する体験宿泊旅行が人気である。(次の一文は自分のメモが読み取れず。)2018年には京都の仁和寺で、2020年には愛媛の大洲城で一泊百万円の体験宿泊旅行が行われ、評判になりました。」(細かい表現は違っているかもしれない。)

(9) ご自身の英語訳の再現

・読み上げスピードは特別に速いものではなかったと思うが、2文目(あるいは1文目の後半)のメモの走り書きが瞬時に読み取れず、とりあえず「各地でも体験プログラムが取り組まれている」というようなことを言った。
・咄嗟に「一泊百万円」をone million yen per stay、「評判になった」をbecame an epoch in tourismと訳してしまった。
・正確性にはかなり欠けていたように思うが、とにかく動揺や沈黙することなく話し終えることはできたと思う。

(10) situationの内容 

概ね以下の内容を記述した紙をFから渡される。
「本日お客様は城の天守閣に登る予定で、お客様もそれを楽しみにしていましたが、奥様の脚の調子が悪く、天守閣には登れそうにありません。あなたはどう対応しますか。なお、お客様は70代のご夫婦で・・・(もう少し条件が付いていたが、忘れました。)」

(11) 試験官とのrole play応答内容の再現

A:天守閣に登ることをご希望ですね?
F:そう。でも妻は足が悪くて登れない。
A:それでは私が奥様をサポートして登るのはどうでしょう?
F:いや。それは難しい。妻は(体重が)重いし、疲れている。天守閣のほかに見どころはあるのか?
A:はい。この城には美しい庭園や美術館があります。美術館ではこの城の歴史などが展示されています。お望みならご案内します。
F:車いすはないのか。
A:お城のスタッフに聞いてみます。車いすがあるなら借りてきましょう。
F:(先方から話題を変えて)ところで、あなたは(日本語で)Tenshukakuに登ったことはあるのか?
A:はい。(TenshukakuとFが言ったので、お客様は天守閣が何かをご存じないのではないかと考え)天守閣はお城にある高いタワー(手を振り上げて高と形を示す)で、日本全国に数多くあります。その多くはレプリカですが。
F:小田原城には天守閣はあるか?
A:あります。しかしレプリカです。オリジナルの天守閣は300年ほど前(本当は150年前)に壊されました。
F:なぜ壊されたのか?
A:政府が封建領主の反乱に利用されるのを防ぐためです。
F:なるほど。関東地方で有名な天守閣を知っているか。あっ、あなたは関東出身か?
A:いえ、西日本の大阪出身です。関東地方なら、長野県にある松本城が有名です。松本城は国宝にも指定されています。
F:あなたの出身地である大阪にはどんな城があるのか?
A:大阪城が有名ですが、これもレプリカで、鉄筋コンクリート造りです。でも、エレベーターが中についていますよ。
F:おお、それならあなたに重い車いすを持ってもらわなくてもいいね。(と隣のJに向かって大笑い)
A:(手を振りながら)いえ、ご心配なく(no problem)。(両腕を前に出して)私は十分力がありますから。(とこちらも大笑い)
F:大阪へは東京から新幹線でどのくらいの時間がかかる?
A:2時間半です。
F:(笑顔で)おお、それなら行かなきゃね。
A:(こちらも笑顔で)ええ、どうか行ってみてください。(ここで終了)

(12) 追加のQ&A(もしあれば)

特になし。今思えば、role playで天守閣の話題に切り替わったあたりからは追加の質問のようなものであった。

(13) 終了後、退出してから解散までの手順

・Jから「これで試験は終了です。」と告げられたので、立ち上がってThank you very much. I had a good time with you.と笑顔で(多分)告げて一礼の後退出。
・試験室ごとに指定された廊下の席でしばらく待機後、同じ時刻の終了者と隊列を組んで、スタッフの誘導で1階の食堂のような場所で解散まで待機(11:45ごろ)。待機場所に入室の際、「口述試験受験者へのお知らせと注意事項」が配られる。
・待機場所は机に透明のパーテーションがあり、1席ずつ間をあけて受付番号による指定席。トイレに行きたい人は手を挙げて、スタッフの誘導で隊列を組んでトイレへ。私語は禁止と掲示されていたが、試験前と違ってあちこちで私語が聞こえた。中にはトピックの内容等を声高に話す人もいたが、スタッフは特に注意せず。
・12:15ごろ解散。

(14) 全体を通しての感想など

・やはり緊張はしていたが、上がってはいなかったと思う。それでも、英訳の日本文はいまだに全部は思い出せない。Situationの問題文も、現場でなかなか頭に入らず、やはり練習の時のようにはいかない感じがした。
・全体として、プレゼンとsituationはそれなりにできたと思う。こうしてレポートを書いても、ほとんど内容を覚えている。試験官は終始笑いを交えて話をしてくれた。試験終了後に気づいたが、SituationでFは当方に対して、足が悪い妻に車いすを用意して天守閣以外の施設の見学を勧めることを期待していたのではないかと思う。当方がすぐにその方向に話を向けなかったので、助け舟を出してくれたような気がする。おかげでその後の話は盛り上がり、最後は双方が笑って終われた。ただし、盛り上がり過ぎて、勢いに乗ってしゃべってしまったので、模擬面接で再三指摘された三単現や時制が間違いなく話せたかはわからない。
・他方で日本文英訳はうまくいかなかった。一応、メモとペンは机に置いて、時々ではあるが顔を上げていたと思う。模擬面接でも指導されたとおり、わからない所は思い切って跳ばして、途切れないように話せたのだけは救い。
・不織布マスクを着けたままの面接にそれほど不安はなかったが、最初のJの質問やFのeggなど、聞き取りにくい個所もあった。原因はマスクだけではないと思うが、声の質や発音によっては聞き取りにくい場合があるように感じた。
・うまくいかない部分もあったが、それは実力通りと思う。むしろ、模擬面接などで指導いただいた笑顔や身振り手振りを意識したおかげで、試験官にも笑顔が見られ、全体としては試験官と楽しいコミュニケーションができたように感じている。模擬面接で田中先生から「質疑になると力を発揮できるタイプですね」と言われたが、今回面接で試験官が多くの質問をしてくれたのは幸運だったと思う。
・曽根先生はじめ各先生には模擬面接等で的確にご指導いただき、その成果は面接試験でも大変役に立ちました。ありがとうございました。

 

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