「英語総合力養成講座」~英検準1級、そして1級へ~

コラム:「英語総合力養成講座」~英検準1級、そして1級へ~

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■第3回:英語を「書く」~英作文から英借文へ


英語の経験値向上のために

1.理屈でなく語感で

<例題1> 「1匹の茶色い大きな犬」を英訳してください。
<正解> A big brown dog

日本語と英語で形容詞の語順が逆転していることに注目ください。日本語の場合は、「大きな茶色い犬」「茶色い大きな犬」と、どちらでも自然な日本語になります。しかし、英語で”A brown big dog”は不自然な表現です。これは、理屈ではありません。慣用です。講師用に常備してあるネイティブ向けのぶ厚い文法書、つまり英語言語学を専門とするような方向けの本を調べてみますと、形容詞の語順として「大きさ→色」となる、と解説してあります。その他にも、事細かに形容詞の語順が解説されています。それでは果たして、ふつうの英語学習者はこのような規則を理屈でいちいち暗記しなくては、英語が書けるようにならないのでしょうか? そうとは思えません。ビジネスで日常的に英語を書いている筆者自身、このような文法書をいまだかつて読んで勉強したことは一度もありません。それでは、どのようにして、「自信を持って英語を書く」ことができるのでしょうか?

多くの英語に接していれば、つまり英語をたくさん読み、聴きしていれば、さまざまな表現に出くわして、それが繰り返されることで、自然と感覚的に理解されて来ます。<語感>と言われるものです。これは母語である日本語のことを考えれば自明です。

次の例ではいかがでしょうか。

<例題2> 「木製の大きくて美しい丸テーブル」を英訳してください。
<正解> a beautiful large round wooden table

「木製の」「大きい」「美しい」「丸い」と4つも形容詞がありますと、これはもう語順を理屈で覚えておくことなど不可能です。今まで体得して来た英語の語感で並べるしかないでしょう。もちろん、上述のぶ厚い文法書には、このような場合であっても、語順の法則が学問的に解説されていますが、これを暗記して理屈で並べるよりも、語感を体得して自然に並べるようになる方が結果的には応用も効いて表現力が増すのです。そして、この語感という言語能力は、英語の経験値が高まるに連れて、自然と向上するのです。

2.生きたより豊かな表現力を

<例題3> 「その会社の継続的な成長」を英訳してください。
<正解> the company’s sustainable growth

大多数の生徒さんは”the company’s continuous growth”と書きます。もちろん、英語の試験としてはそれで満点です。しかし、ビジネスシーンでは、このsustainableがまるでファッションのように流行りの、あえて言うならば「カッコいい」単語として使用されます。こういう表現を使うことで、自分の書く英語が生き生きとパンチが効いてくるのです。sustainableの辞書的な意味「維持できる」「持続可能な」を覚えていても、決してこういう使い方はできないでしょう。一方で、ビジネス文書に目を通していれば、頻繁にお目にかかる語彙なのです。

<例題3> oxymoronという単語の意味するところを、具体例を挙げて説明してください。
<正解> a wise foolやmake haste slowly のように、二律背反する表現をくっつけてみる言葉遊び

oxymoronを英和辞典で引きますと、「撞着語法」と出ており、一見日常生活では(英語でも日本語でも)金輪際使用しない単語のように思えます。

しかしながら、筆者がこの単語を覚えたのは、アメリカのビジネスパートナーとの日常のメールのやり取りの中でした。筆者から彼に送ったメールに返事がなかったのですが、2週間ほどして彼が送って来たメールで、「返答が遅くなって申し訳ない。2週間スイスへfamily vacationに行っていたもので。」と書いてきました。そのfamily vacationについて、「こういうのをoxymoronって言うんだけど知ってるかい?」と書いてありました。おそらく、返事が遅れたお詫びの印としてこのような「知的表現」を教えてくれたのでしょう。

このようにして教わった表現は、決して忘れることなく身につき、その後は自信を持って使うことができるのです。

辞書的表現で「撞着語法」と覚えていては、一生使うことのない「無益な」語彙になったでしょうが、こういうwitに富んだ表現として実際に遭遇した経験があったので、その後は、自分が自信を持って活用できる英語のボキャブラリーのアクセサリーとして、英語を書く際に、ちょっと「お洒落」できるのです。


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