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CEL受講生の体験記

2019年度通訳ガイド(通訳案内士)国家試験合格者からのメッセージ


CELなくして2次試験の合格なし!

長尾 ひとみさん (通学受講)


<有資格者のボランティアガイド仲間に触発されて>

 英語は好きでしたが、留学や仕事での経験はありません。オリンピックボランティア目指して5年前からNHKの語学番組にて勉強。2年前から訪日外国人のボランティアガイドをしています。受験の動機は、昨年度の試験に合格した二人の友人の勧めです。その団体には全国通訳案内士資格を持っている人も多く、日本の地理・歴史に無関心だった自分の知識のなさが恥ずかしく、レベルアップの必要性を痛感していました。

 とは言っても、過去問を開いただけで自分にはハードルが高すぎると決断が着きかね、最終決断は、九州に住む孫の3週間のお守から帰京した6月16日でした。1次試験まで2か月しかありません。一科目でも受かればいいか、今年は挑戦と友人に報告すると、全部受かってしまいましょうとの返信。確かに最初から限界を決めてしまうのはよくない、全力で取り組もうと決心。独学で、特に地理・歴史ともに底辺からの出発で、言い換えれば伸び代は大きかったわけで、知らなかったことを知る喜びや感動があり、ついつい面白エピソードや雑学をネットで仕入れて楽しんで勉強できました。結果的にこれが1次試験に合格できたポイントと思います。

 その分、英語に充てる時間はあまりなく、過去問中心の対策をしました。特に大問3がネックでした。試験当日の朝、目覚めた時に何故か急に思い付き、江口先生の『英語で語る日本事情2020』の(日本人の心)のパートの日本語訳を熟読。それが、そっくりそのまま試験に出るとは!もちろん全問正解。これがなければ英語を落としていたかもしれません。5科目受験は厳しかったのですが、実際にガイドをする上での知識が相乗効果で増える実感があり、自分には向いていたと思います。

<出遅れた2次試験対策>

 1次試験を通過できるとは思わず、長期間帰省、旅行、特に去年は還暦祝いがらみの予定も多くあり、2次試験へのスタートが遅れました。友人からは結果を待たずに直ぐに準備は始めたほうが良いとアドバイス頂いていましたが。また、同時進行で実践を多く積むように言われ、旅行の合間を縫ってボランティアガイドを12回こなしました。例えば、浜離宮恩賜庭園では抹茶を飲みながら、日本庭園の種類の説明をしたり、以前よりも話題の広がりを実感できましたし、アドバイスをしてくれるゲストもいました。ただ、自分の場合、ゲストの要望に沿ってのプラン作成や下見に時間が取られてしまうのが困りものでした。テキストとしては「英語で語る日本事情2020」と新たに「全国通訳案内士試験英語二次口述パーフェクト対策」を購入し、自分の興味のあるトピックからノートにまとめていくことから始めました。しかし、時間が足りず、通訳パートは手付かずでした。

<CELの2次試験対策に頼って正解!>

CELの模擬面接クラスが効果絶大であることは以前より聞いていて、2次試験対策としては絶対に受講しようと決めていました。

10月23日
曽根先生の「通訳ガイド2次試験対策セミナー」に参加。堂々として、かつ簡潔に話される曽根先生に圧倒されました。教材冊子の中の、プレゼンと英訳パート、それぞれしっかり認識しておくべき点が書かれたページを机の前に貼ってくださいとのこと。先生の言葉も朱書きして帰宅後すぐに実行。これには励まされました。例えば、英訳パートでは、話す順番はどうでもいい、「てにをは」は気にせず、内容が大事。簡単な文章でいい。プレゼンでは、ゆっくり、はっきり、大きな声で,プラス笑顔とジェスチャー。これだけで、もしかすると私にも可能性があるかもと思わせてくれました。ですが、模擬面接クラスに参加して、そんな甘いものではないと思い知らされます。

11月14日
曽根先生の模擬面接クラスに初参加。少人数グループレッスンの良さは、他の方の模擬面接の模様を見ることで、自分を顧みることができることです。座り方、姿勢、笑顔、不安、緊張、楽しさ、話し方の癖、声の聞き取りやすさ等々。内容はもちろんですが、いかに自分を見せるかという点で非常に参考になりました。肝心の自分の内容はひどいもので、5段階評価で2の評価もありました。質疑応答では、緊張のあまり自分でも何を言っているのかわからなくなり、先生から日本語で「意味わかっていますか」と言われる程で、日本人試験官役のCEL卒業生先輩ガイドの方の表情も心配そうでした。

11月16日
仲間と一緒に上野公園での実地特訓。友人たちが日系アメリカ人ゲストになりきって日本語禁止の徹底的質疑応答での試験対策をやってくれました。ここで、突っ込まれた苦手の「明治維新」が本番でのプレゼンのお題となろうとは!

11月19日、20日
奈良・京都へ弾丸旅行。曽根先生の「できるだけ自分の目で、観光地や美術館を見てください」とおっしゃった言葉に触発され、確かに女子旅程度の経験では、熱く語ることはできないと一人旅決行。紅葉のピークの混雑の中を効率的に回るため、二日目の京都は早朝から電動自転車を借り、京都駅から嵐山、北へ、東へと40キロ近く走りました。普段からガイドでは長距離歩きますし、5年前からの合気道の稽古で体力はあります。絶対に外してはいけない奈良・京都のポイントを押さえたことで自信がつきました。

12月6日
3回の模擬面接クラスを経て、最後に曽根先生の個人レッスンを受講。Deliveryの項目で最高評価の5と、笑顔とても良いですとのコメントをいただき、試験直前の不安に押しつぶされそうになった時の心の支えとなりました。

<CELでおもてなしの心を学びました>

 CELでは、曽根先生だけでなく、もちろん、他の先生たちにも徹底的にゲストサイドに立ってのもてなしの心を教えていただきました。

 Situation partでは、私はなんとかゲストを説得しようとしてしまっていました。例えば、すき焼きの生卵は食べられないと言われれば、ひたすら日本の衛生管理の素晴らしさを説き、ぜひ食べてみてと迫りますが、鍋にポトンと卵を落とすことには思い至りません。万事がこの調子でした。ゲストの、時には難癖にも如何にかわすか。単に切り抜けるだけでなく、共感し、優しさやユーモアや笑いで相手の心を掴むチャンスに変えていく。クラスではプロのガイドの真髄に触れ、毎回が感動の授業でした。日本人試験官役の先輩ガイドの方々からも、授業終了後に「大丈夫!みんな最初はそうだったのだから」と励ましていただき勇気づけられましたし、取り組み方なども伝授してくださってとても参考になりました。また、受付の田中さんの笑顔が素晴らしく、通訳ガイドは、是非こうありたいと思えました。自分のレベルに自信がなく、CELのエレベーターが開いて受付におどおどと暗い顔で伺うと、とびっきりの笑顔で元気に挨拶してくださいます。すると、こちらもホッとして元気と勇気と笑顔が湧いてきます。更に、最後の模擬面接クラスの時には、本番用スーツで伺ったのですが、もう少し明るいスカーフを足してとアドバイスいただき、これも勝因の一つと思っています。

<本番では、CELで学んだことをすべて出し切る>

平凡な主婦の私が、超難関の全国通訳案内士試験に合格できるとは、今でも信じられない思いです。2次試験の合格はCELの受講なくしてはあり得なかったとことでしょう。本番の試験では、ゆっくり、はっきり、大きな声、笑顔とジェスチャーで、相撲のチケットを忘れてきたと言うゲストに寄り添って、「大丈夫!私がここにいるから。安心してください!」と解決策を示せたのは、CELのお蔭です。

 また、周りの友人の助けもあってこそで、CELを紹介してくれたこともそうですし、人の縁のありがたさをしみじみ感じております。夫は、独立した子供部屋を勉強部屋に変えて、閉じ籠っている私を理解できないようでしたが、やがてこちらの真剣ぶりに、少しずつ協力してくれるようになりました。国家資格だということに驚いたようです。合格を本当に喜んでくれました。また、試験直前には遠方の親の病気が発覚し、受験は無理かとも思いましたが、日程をやりくりして、なんとか受けることができたことに今は感謝するしかないと、動揺する気持ちを無理やり抑え込みました。

 ボランティアでガイドし、その後も繋がっているゲストたちにも嬉しい報告ができました。何故こんなに喜んでくれるのかなあと考えた時に、私の取柄は、笑顔と普通の平凡な日本のお母さんの温かさなのかと思いました。ですが、今後の課題としては、お金をいただいて仕事をする以上、甘えを捨てて、プロに徹する強い気持ちを持って精進していくことです。もちろん、自分らしくですが。

 合格に導いてくださったCELの先生方、卒業生ガイドの皆様、スタッフの皆様、本当にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。