「英語総合力養成講座」~英検準1級、そして1級へ~

コラム:「英語総合力養成講座」~英検準1級、そして1級へ~

学習用コンテンツ

時事英語ワンポイント・アドバイス
英検1級1次エッセイ問題に挑戦!
通訳ガイド試験過去問題に挑戦
通訳ガイド用語問題に強くなろう
コラム:英語総合力養成講座

<< 一覧に戻る

■第2回:読む訓練としての「精読」と「多読」

CEL英語ソリューションズ 最高経営責任者
曽根 宏

英語力上達のキーは読むこと!

企業向け英語研修に携わっている仕事柄、筆者は日本の大企業で人事教育をご担当されている方とお話しする機会が多いのですが、「いまだに『語学はネイティブと会話して身に付くもの』と信じて疑わない経営者や管理職が多いので困る」と嘆く方々が少なくありません。世間では最も国際化が進んでいるように思われる大手総合商社ですら例外ではないようです。

賢明な読者諸兄は先刻ご承知でしょうが、外国人との英会話の練習で身に付くのは、せいぜい日常会話レベルの、身ぶり手ぶり(non verbal communication)を加えた基本的なコミュニケーション能力です。つまり、海外旅行に行っても困らない「サバイバル英会話」ならば、外国人と英会話をするだけで充分でしょう。  

しかしながら、ビジネスの現場で通用する英語力、つまり英語で商談、交渉、議論、プレゼンテーションなどをするための総合的な英語能力は、ネイティブとの会話練習の繰り返しでは、未来永劫身に付きません。これは断言できます。

過去15年以上、国際ビジネスの現場で英語を使って仕事をして来た筆者の経験を振り返ってみましても、国際ビジネスシーンで必要な英語力は「読む」能力が最重要と言っても過言ではありません。事実、海外との英語でのやり取りの圧倒的多くは、「読む」ことです。emailが全世界に普及した現在では、つい7~8年前と比べても、国際電話で話す機会は劇的に減りました。つまり、「話す/聴く」仕事が「読む/書く」仕事に取って代わられているのが現実です。感覚的ではありますが、今、国際ビジネスの現場での英語の「読む、聴く、書く、話す」の割合は、その順に「4割、3割、2割、1割」くらいでしょう。少なくとも、ビジネス上では、英語を「読む」ことが一番多いのは間違いありません。

ひるがえって、英語学校の経営者の立場で、英語を学ぶ多くの日本人に日々接していますが、そこで感じることは、「現代日本人の英語学習者は、決定的に英語を読んでいる量が足りない」ことです。つまり、読解量不足が、聴けない/話せない/書けないの直接の原因になり、従って英語総合力がなかなか上がらない、というアリ地獄に陥っているのです。

『徹底的に英語を読むことが、語学のプロとして技術を磨いていくための、私の最高の手段であり日々の鍛練です』

これは、翻訳家の言葉ではありません。現在第一線で活躍中のトップレベルの通訳者の方の言葉です。「英語を話すこと」を生業とする通訳の方のふだんの勉強は、実は「読む」ことなのです 。

この通訳者の言葉に象徴されますように、英語を「読む」量を増やすことが、最終的には語学の他の3技能「聴く、書く、話す」ための最高の訓練となるのは、これまた間違いないことです。

読む訓練としての「精読」と「多読」>>