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書 籍

英語でガイド!世界とくらべてわかる日本まるごと紹介事典

江口裕之(CEL最高教育責任者)著

Jリサーチ出版
定価 本体1,800円(税別)
各地の大型書店でご購入いただけます。

 今や日本文化が世界中でブームです。日本を訪れる外国人は年々増え続け、皆さんの中にも日本の様々な側面を英語で説明する機会が増えた方も多いのではないでしょうか。そのような場面において、特に最近では、説明をする相手が必ずしも英語圏の方とは限らなくなりました。英語を第二言語、第三言語として用いておられる方も多く、その文化的背景も様々です。そのような場合、英語表現はできるだけ簡潔なほうが通じやすいですし、説明も具体的なイメージが沸きやすい内容が求められます。

 例えば、「お好み焼きってどんな食べ物?」と聞かれて、どこから説明してよいやら迷うかもしれませんが、そんな時に便利なアプローチは、外国にも存在する、似たような食べ物を挙げることです。お好み焼きは、よくpancake(パンケーキ)と説明されますが、確かに、どちらも小麦粉を水で溶いたものをベースにしているので似ています。ところが、食べてみると全く違うものであることが分かります。pancakeが甘いのに対し、お好み焼きは甘くありません。さらに、pancakeがスナック感覚で食されるのに対し、お好み焼きは食事という感覚です。その点からすると、お好み焼きは、pizza(ピザ)に近いのかもしれません。

 他愛もないトリビアのように聞こえるかもしれませんが、実は奥が深いところなのです。お好み焼きとpancakeのような、異文化間における似たような事象の比較を通じて、それらの事象そのものや、背景にある文化的な違いがより良く理解できるようになりますし、また、それらの類似点・相違点を明確に伝える英語表現を知ることにより、語彙力や説明力の幅が広くなります。このような比較は、日本文化を英語で説明したい方々にとって、魅力的な学習分野ではないでしょうか。そのように考え、今回、筆を執ることにいたしました。

 本書では、先の「お好み焼きVS. Pancakes」のような構図で、日本に関する125の事象を扱います。着物や相撲などの伝統文化、折り紙や居酒屋などの生活文化、忍者や新幹線のような観光地での話題、カラオケやマンガのようなポップカルチャー、さらには、国会や自衛隊などの日本の政治・社会に関する話題も含まれています。それらを5つの分野に大別して、それぞれの簡潔な説明を紹介し、その後に、外国の似たような、あるいは、相反するような事象を取り上げ、質疑応答の形で比較してみました。中には、「すし」や「歌舞伎」など、もう少し知りたい、という項目もあります。それらについては、各分野から5本をピックアップして、追加のページを割き、質疑応答の続編を掲載してあります。

 基本的に、英語表現はできる限り簡潔にしたつもりですが、質疑応答やその続編においては、チャレンジの気持ちも含めて、やや高度な表現を織り交ぜた部分もあります。知らない表現などが出てきた場合、得をした気持ちで、自分でも使えるように習得していただければと思います。

 私自身、これまで英語による日本文化紹介の本を数多く書かせていただいていますが、本書の執筆を通じて、新しい発見が数多くあり、楽しく、また、チャレンジングな気持ちで取り組ませていただきました。中には、複数の説があるものや、まだ説が存在しないものもあります。そのような場合は、自分の主観に頼りましたが、私の経験から、外国の方に十分に納得していただける説明になったと自負しております。日本文化を英語で紹介したい方々に、本書のアプローチが新しい視点を提供することができれば、それに勝る喜びはございません。

2018年9月
江口裕之

(「はじめに」より)