通訳ガイド(通訳案内士)2次試験レポート

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受講生48

(1)試験会場到着から試験室入室までの手順

・私は午前9時~9時25分受付、10時試験開始のグループでした。
・9時少し過ぎに受付を済ませると、首から下げる名札を渡されました。以後、この名札の番号にしたがって、すべて誘導されることになります。
・集合場所である教室(中教室程度)に案内されました。9時半から試験監督者の説明がありました。これから先、通信機能があるすべての機器の使用は禁止となりました。ただし、参考書や通信機能のない電子辞書の使用は可能です。
・試験開始時間が迫ると、座っている列ごとに、試験監督者に案内されて別教室に移ります。ここでまたしばらく待機。10人単位ぐらいで呼び出され、面接室のドアのわきの椅子で自分の番を待ちます。
・私を含めて10人程度の列が教室を出て、ひとりずつ該当する面接室の前の椅子に案内されます。今回は椅子に座ったと思ったらまもなく、教室から前の受験者が出てきました。すると、廊下にいたスタッフが「ノックをして入室してください」との指示。いざ出陣とドアの前に立つと、中にいた日本人試験官が内側からドアを開けてわたしを呼ぼうとしたのでしょう、思わぬご対面となりました。


(2) 試験官の性別、推定年齢、(外国人面接官はアクセントから判断して)国籍

・ネイティブ:男性、50代後半(アメリカ人?)
・日本人:男性、30代前半。
(コメント)
・Nは明るい柄のスーツ(ジャケット?)を着たブロンドの長髪の方でした。実は、試験教室前への移動の際に、ドアのガラスからちょっと垣間見たときには女性かな?と思っていました。一方、日本人試験官は、とても若い方だったのが意外でした。
・狭い部屋でした。試験官は長机にN(向かって左)とJが並んで座り、対してわたしは三つ並んだ椅子の真ん中にすわるよう促されました。試験官との距離は、CELの模擬面接のときのそれより近かったと思います。ちなみに受験生用の机はありませんでした。
・右の椅子に荷物を置いて、ふと左の椅子に眼を落すと、A4を一回り大きくしたサイズの、クリップ付プラスチックボードに白紙が挟まれて、ボールペンといっしょに置いてあります。ははーん、これが通訳試験用の筆記用具なんだなと察しました。

(3) 自己紹介等のウオーミングアップのやり取り

日本人試験官が英語で大きな声で、さあ始めましょう、お名前は?と聞いてきたので、I am ~.と聞かれたことだけ答えました。住まいは? ここまでどうやって来たの? と続くかと思ったら、すぐに試験に入りました。

(4) 通訳の日本文

 「日本は四方を海に囲まれています。国土の70パーセントは山で、川は短く流れは急です。川が海に流れ込むところに平野が広がっています。」

(5) 英語訳の再現

Japan is surrounded by oceans. 70 of lands of Japan are mountains. Rivers flow rapidly. The planes are spread in the areas where rivers flow out into the oceans.

(6) プレゼンテーションの3つのトピック

「旅館について」
「浮世絵について」
「観光地として東京が他と違う点について(?)」
・ちょっと可笑しかったのは、Jが試験の進め方を説明している最中に、トピックが書かれたカードをNが席を立って持ってきたときの様子です。何かとても慌てているかのように見えて、心の中で思わず「クスッ」としてしまいました。

(7) 選択したトピック

 「旅館について」

(8) ご自身のプレゼンテーションの再現

 「旅館は日本式のイン(inns)です。そこに泊まれば伝統的な日本を味わえます。例えば、日本食を食べられたり、日本の布団で寝たり、ユカタを着られます。自分の部屋に食事を持ってきてくれることもあれば、大広間で家族や友人ととることもできます。共同浴場も楽しみのひとつです。それが温泉であることも少なくありません。浴槽には体をしっかり洗ってから入りましょう。」

(9) Q&Aのやり取りの再現

(質問概要)
N:浴衣について説明してください。
J:カジュアルなキモノです。長いローブで、帯で締めます。ゆったりしていてリラックスできます。
N:浴衣は何でできていますか?
A:綿でできています。
N:旅館ではどんな食事がでますか?
A:その土地にちなんだものがよく出ます。海が近ければ刺身などです。
N:都会と田舎、どちらの旅館がおすすめですか?
A:都会の旅館は近代化されすぎています。だから、田舎の旅館だと、田舎の雰囲気を味わえるのでお勧めです。
N:試験は以上です。ありがとうございました。

(10) 日本語での質疑応答の有無

 ・受験の動機等、これまで面接の〆の定番の質問は、日本語英語を問わず一切ありませんでした。

(11) 試験終了後のやり取り

・ありませんでした。

(12) 終了後、退出してから解散までの手順

 ・教室を出ると、廊下の先に用意された10脚くらいの椅子に案内され、試験前に待機していた教室を一緒に出たグループが全員そろうまで待機。全員そろったところで、再び一緒に階下の大教室へ。そこにはおそらく午前10試験開始組が全員そろうのでしょう。待機の間、この日の午前中、自分の名前代わりだった番号が入った札が回収され、まもなく解散となりました。教室を出て、電源を入れたスマホを見ると時刻は午前11時20分を過ぎたところでした。

(13) 全体を通しての感想など

・通信機器の発達に対応するために、試験場での受験生の管理は厳しいものとなっています。教室に詰め込まれた上、場合によっては長時間待機を強いられるので、それなりの覚悟が必要です。
・いちばん困るのは、待機疲れで笑顔が本番で消えてしまうことです。受験生が人間なら試験官も人間、あふれる笑顔とアイコンタクトと腹から湧き出る英語でどーんとぶつかっていけば、道は開けるんじゃないか、そんなふうに思いながら待機していました。
・本番では、冒頭に姓名を名乗る以外は通訳とプレゼン以外のやり取りは一切ありませんでした。もしこれが全体的な進め方ならば、今年は二次試験受験生が多いのでテキパキと試験を進行させようという主催者側の意図があるのかもしれません。
・通訳の日本文は、CELの模擬面接で使われたものよりも短く内容も平易だったのだったので、訳しやすく感じました。また、プレゼンのテーマも、東京をテーマにしたもの以外は、基礎的なものと思われました。QAも意表を突くもの、捻ったものはなく、わたしの答えにNは一つ一つ頷いてくれていました。
・一つ気にかかることは、プレゼンの前の説明でJが「1分たったら連絡する」といったように聞こえたことです。折り返し地点で教えてくれるのかと思いながらプレゼンをしていたらアラームが鳴ったのですが、どうも自分の感覚では2分たったように感じました(わたしの英語は時に考えながら、ゆっくりと進めていくので2分はあっという間に経ってしまいます)。アラームがなったとき、Jの表情をうかがったのですが、どうしたものかなといった面持ちをしているように見えました。わたしもそれ以上、プレゼンを続ける気になれなかったので打ち切りとしました。もともと構成というほどのものがなかったので、続けようと思えばまだ続けられましたし、打ち切ろうと思えばいつでも打ち切れましたから。その後は何事もなかったかのように、スムーズにQAに入りましたから、「1分」というのは、わたしの聞き間違いだったのか、Jの言い間違いだったのか、そのどちらでもなく、つまりわたしは1分と少しでプレゼンを止めてしまったのか。今となってはよくわかりません。他の面接室ではどうだったのでしょう。
・面接の最後、わたしがThank you!というと、Nは笑顔で何度かうなずいていました。手応えとしてはまずまずでした。これもCELで鍛えていただいたおかげです。ありがとうございました。

 

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