通訳ガイド(通訳案内士)2次試験レポート

<<一覧に戻る 通訳ガイド(通訳案内士)2次試験レポート

受講生54

(1) 試験会場到着から試験室入室までの手順

会場は一次試験と同じ千葉・明海大学。受付時間は14:30-14:55の間。試験予定時刻は15:30。
一次で来た会場であったので一時間前に来て、大学構内にあるレストランで昼食を取るとともに時間を過ごした。14:30になってから店を出て、外の自販機でペットボトルのお茶を購入し、受付へ向かった。
大学入り口からは要所・要所に人が立っていて案内してくれていたので、迷うことなく受付へ。受付後は控えの大教室で、びっしりと着席して順番待ち。CEL事務員の田中さんから「今年は一次合格者が昨年度の3倍。2006年頃にも同様の年があり、事務局が運営に手間取り、2時間以上相当待たされた。だから今回も同様の事態が起こるかもしれない」「でも苛立ったら負けですよ。試験室で苛立ちを見せたら、それは確実に試験官に伝わります」とのアドバイスを聞いていたので、相当の覚悟をしていたが、スムーズに流れていく上、常にアナウンス・説明がなされるので意外に長く感じなかった。トイレなども適当な時間ごとに区切って案内してくれるので全くストレスを感じずに済んだ。
大教室からは8人単位で連れて行かれた。連れて行かれた先は8つの試験室があって、それぞれに振り分けられる。試験室前での待ち時間は7~8分程度に感じた。前の人が試験を終えて出てきたので、ちょっと浮き足立った。そしたら廊下にいる監督官が、「中からお呼びしますのでご安心ください」と声をかけてくれた。


(2) 試験官の性別、推定年齢、(外国人面接官はアクセントから判断して)

国籍 日本人:初老の男性。60代前半か。 外国人:女性、40代前半。白人。国籍までは想像している余裕が自分にはなかった。

(3) 自己紹介等のウオーミングアップのやり取り

日本人の男性がドアを開けてくれ、「どうぞお入りください」と日本語で招き入れてくれた。その後も日本人試験官は9割方日本語で話していた印象があり。
    A: Good afternoon, Sir, Madam.
N: 満面の笑顔で会釈。
    J: 書類を見ている。
試験室に入ると、自分側には机はなく、椅子が3つ並んでいるのみ。左側の椅子には あらかじめ筆記用具が置いてあった。早く体制を整えたかったので、言われる前にさっさと右側の椅子にカバンとコートを置いた。ただし座るのだけは面接の常として指示を待った。
J: Please take a seat.
    A: Thank you.
J: ではまず...What’s your name ?
    A: I am xxxxx.
その後、時候のあいさつ等は一切なく、
    J: では試験を始めますので、隣に置いてある筆記用具を取ってください。
そう言われて用意されていたボールペンを手にしたものの、芯の出し方がわからずまごついた。ほどなくノック式ではなくてキャップ式のボールペンであることに気づき、キャップを外して、
    A:OK. I’m ready.
と言ったものの、私のまごつきぶりに日本人試験官はすぐに問題を読み上げず、
    J: Please take a deeeep breath.
と、ジェスチャー付きで言ってくれて、一拍置いてくれた。
そこで私はすかさず、
    A: Well, I’ve been so nervous that I could sleep only 10 hours last night.
と、あらかじめ用意してあった冗談を言ったら、N,Jともにウケた。そのおかげで自分の気持ちもほぐれた。そしてようやく通訳パートの読み上げが始まった。
実はこの冗談については、緊張していることを見透かされたときの返しとして、何度もシミュレーションしていた。CELの練習でも言ってみたが、江口先生のときはスルーされてしまって、デューマス先生のときは冗談ということが理解してもらえずに「あなたは緊張しているのに10時間も眠れるのですか?」とまともに返されてしまった。だからスルーされたときや通じなかったとき、あるいはスベったときのシミュレーションもしてあった。

(4) 通訳の日本文

日本を訪れる楽しみのひとつに温泉があります。日本式の温泉旅館に宿泊して、露天風呂から景色を見るのは爽快です。また、温泉には様々な病気を治すという効能があります。(あともう1センテンスあったと思いますが、忘れました。)

(5) 英語訳の再現

     One of the features to visit Japan is Onsen hot spring. Especially, if you stay Ryokan-style Japanese traditional hotel, and from open sky bath you enjoy scenic beauty, it is very enjoyable. And another role of Onsen is that it cures various kinds of diseases.

(6) プレゼンテーションの3つのトピック

    1. ?????   2.富士山   3.?????
   2番目のカード見てほぼ1秒でこの富士山に決めたので、あとの2枚は忘れました。というより、CELの模擬面接練習でそうしていたように、瞬間的にトピックを決めた後は、あとの2つに未練を引きずらないように、さっさと見切りをつけて意図的に意識から消しました。おかげで自分がこれから話そうとする内容に集中して考えることが出来ました。この自分の集中力のコントロールが出来たことも、CELでの練習の大きな成果のひとつだったと思います。

(7) 選択したトピック

富士山

(8) プレゼンテーションの再現

   プレンゼンテーションを始める前に、日本語で次のような説明があった。
J: 持ち時間は2分です。途中1分経過した時点で、そのことをお知らせします。ただし、それはあなたの参考のためですので、それによってプレゼンテーションを止めたり、中断して返事をする必要はありません。2分経過した時点で再度お知らせします。その時はプレゼンテーションを終了してください。
(30秒経過)
それではどうぞ。
   Let me talk about Mt.Fuji. Mt.Fuji is the highest mountain in Japan. Its height is three thousand seven hundred sixty… well, seventy six meters high, nearly equals to eleven thousand feet high. Many Japanese people love Fuji-san. For example, it is adopted for wall paint of sento public baths. People take hot bath viewing Fuji-san and relax. One of the reasons why Japanese people like Fuji-san is its scenic beauty. Covered with snow, it is very beautiful. And another aspect is that people feel spiritual feeling or kind of animism(この辺り、a, theなどの冠詞を考える余裕がなかった ) to Fuji-san. If you go up to the top of Mt.Fuji, it gives you energy and cheerful feeling. In Japan mountains are believed to be the chair where a god sits down. You know, Japanese religion is multi-god religion. (多神教という単語を予習してあったが、とっさに思い出せず、無理やり”multi-god religion”とひねり出す) There are 8million gods in Japan. People feel kind of diety to the mountain. That’s why people get powerful feeling from Fuji-san. (この時点で自分の時計をちらっとみたら、2分30秒近く経過していたので) That’s it. (と言って自分から終了した)

  上記の説明にもかかわらず、1分経過時の知らせもなく、2分の知らせもなかった。おそらく試験官はストップウォッチを押すのを忘れたのではないか?と思います。

(9) Q&Aのやり取りの再現

N: OK, let me ask a few questions.
A: OK, any question, please !
   N: OK. How can I go to Mt.Fuji ? How can I enjoy?
   A: If you are young and have a lot of energy, you can walk up to top of Mt. Fuji. And then, you can enjoy
really amazing scenic beauty. But if you don’t want to work too hard, you can also go to 5th staion by bus. It is still very enjoyable.
   N: Is it covered with snow all the time ?
   A: No, it’s only winter season. In summer, snow melts.
   N: Can I go into Mt.Fuji any time of the year ?
   A: Well, I believe it is open in limited season.
   N: You said Mt.Fuji sacred place, right ? Can people from other religious area also go in there ?
   A: Well, although I said it is related to gods, it is kind of animism. So it is not the specific religion like Shinto, or Buddism, and so on. So people from other religious area such as Christianity or Muslims can enjoy Fuji-san. It doesn’t conflict.
   N: OK, I understand. And is there any recommended season or day to go to Mt.Fuji ?
   A: Well, most popular day is new year’s day, but many people concentrate this day. So I individually recommend other day. It is better to go in summer season.

(10) 日本語での質疑応答の有無

   なし。

(11) 試験終了後のやり取り

  試験を終えて、部屋を出るときに外国人試験官が、
   N: I wish you sleep well tonight.
と笑顔で言って見送ってくれた。

(12) 終了後、退出してから解散までの手順

   退出後は廊下の一番奥の椅子スペースに8人集められ、8人そろった時点で、前・待合室とは別の大教室へ移動。そこで30分ほど待った。このときも試験の余韻(興奮)と、終わった安堵感が入り混じって、待ち時間は全く長く感じなかった。

(13) 全体を通しての感想など

個別面談なので、相当待たされることを覚悟していましたが、運営がスムーズな上に、適宜 案内やアナウンスが入るので、全く苦になりませんでした。
また試験室内でも、女性外国人が満面の笑顔とうなずきでこちらの発言を促してくれたほか、男性日本人も私のうろたえぶりを見て、すぐに問題読み上げに入らず、「いったん深呼吸しましょう」と落ち着かせてくれたところに、非常に親切な気遣いを感じました。
概して、受験者が余計なストレスを感じずに、力を発揮できるようにしてくれている事務局の気遣いが随所に感じられました。
また、CELの模擬面接練習では 出題される問題の難易度が、本番の問題の2割増しくらいに感じましたが、それがちょうど良かったと思います。また、考慮時間の30秒やプレゼンテーション時間の2分など、極限状況でのペース配分や自分の心理状態のコントロールなど、最適のコンディションで行えたことが、単語や表現そのものの習得にも増して、CELでの模擬面接の最大の成果だったと思います。
おかしな言い方かもしれませんが、準備期間も含め この試験への挑戦に、今回も非常に楽しんで取り組むことが出来ました。

ページトップに戻る

次の受講生のレポートを読む>>