通訳ガイド(通訳案内士)2次試験レポート

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受講生58

●試験の様子

14:30~14:55集合、受付をして2次用の受験番号が書かれた札を首からかける。
大教室の控室に集められる。
15:00から注意事項の説明開始。その後10人くらいずつ誘導されて試験室のフロアに行き、直前控室に移動、そこでも2~30分待つ。
控室での水分補給、参考書等を見る、辞書の使用は可。食べ物は、アメ等も含めて一切不可。
控室に入った後のお手洗いの使用は、係の人に申し出て付き添いのうえで可。自由に行く事はできない。緊張のせいかかなり多くの人が手を挙げていた。
試験直前に5人くらいずつ順に試験室前に移動、それぞれの試験室前の椅子に座って待つ。直後の1名のみが座っている状態。
試験室は一つのフロアに並んでいて全部で10くらいあった模様。
16:00頃、自分の番になる。自分からノックして入るのではなく、中から声がかかるまで待つ。
ネイティブ試験官は国籍不明だが、白人女性でアメリカ人ではないと思われる。
日本人試験官も女性。二人とも50代くらい。
試験官はテーブルのある席に横並びで座っていたが、受験者用のテーブルはない。椅子が3つ並んでいて真中に着席、右の椅子は荷物置きに使う。左の椅子にクリップボードに挟んだA4の白い紙と鉛筆が置かれていた。

●質問内容

J:     (日本語で)どうぞお入りください。
       (誘導して)こちらの席にお座りください。
A:     (中に入りながら)Hello!
       (荷物を置いて着席、N試験官の方を向いて)Good afternoon.
N:     Good afternoon. Could you tell me your name and examination number?
A:     My name is ..., and my examination number is ○-△
N:     Thank you.
J:     それでは試験を始めます。そちらにあるメモと筆記用具は試験中ご自由にお使いになって結構です。これから日本語で文章を読み上げますので、その内容を英語で説明してください。
       日本人の休暇の過ごし方として人気があるのは、温泉旅館に泊まることです。温泉には様々な効用があり、病気を治す効果もあります。美しい景色を楽しみながら露天風呂に浸かることが何よりの楽しみだという人もいます。
(もう一文あったかもしれませんが、詳細は忘れました。読むスピードは速くも遅くもなかったです。)
A:     (英語で説明。自分で取ったメモが不明瞭で何かを落とした可能性もあり、変にあっさりと終わってしまったので、やり過ぎない程度に最後に一言付け加えて説明し、Thank youで締めました。)
J:     (3枚のカードを渡して)この中からどれか一つのトピックを選び、30秒の後に2分程度でお話しください。1分経過した時に合図をします。それではどうぞ。(30秒後に)最初にどれを選んだか言ってから、始めてください。
(トピックは富士山について、19世紀の?について、絵馬についての3枚)
A:     (富士山を選択。富士山は日本一高い山であり、我々日本人はいつも富士山のイメージを心の中に持っています、と始めた。東京から見た富士山の位置、五合目まで車で行くことができ、富士登山をする場合はここから頂上を目指すのがふつう。一般の人が登れるのは7月と8月に限られるが、日本人のみならず外国人にも人気があり、夏には大変なにぎわいになる。4つの登山道がある。富士山の北側には富士五湖があり、リゾート地として人気がある。2012年に世界遺産として登録され、山以外にも付近の森林など手つかずの自然がある。三保の松原は富士山からかなり離れているが、世界遺産の一部である。太平洋岸の松林のある浜であり、天女の羽衣伝説がある。など話していたら2分になってしまい、切られてしまいました。)
N:     それでは質問します。富士山の高さはどのくらいですか?
A:     3,776メートルです。
N:     東京から富士山へ行くのにどのくらい時間がかかりますか?
A:     新宿からバスに乗るのが便利です。2時間ほどで着きます。
N:     富士山の登山道のうち、お勧めなのはどのルートですか?
A:     吉田口ルートをお勧めしたいと思います。一番人出が多く、多くの外国人にも選ばれています。道も整備されていて、山小屋も多くあります。しかし他の3つのルートももちろん魅力があります。
N:     富士山に登ったことがありますか?
A:     残念ながら登ったことがありません。しかし来年の夏に息子と一緒に登る計画を立てています。
N:     それは良いですね。最近世界遺産に登録されたということですが、富士山が直面する課題はどのような事ですか。
A:     登山者の中にはゴミを捨てていく人がいて問題になっています。環境保全が大きな課題です。
N:     富士山を眺めるには、どの季節に、どこからがお勧めですか。
A:     御殿場平和公園をお勧めします。秋の晴れた日、澄んだ空気の中の眺めは素晴らしいです。桜の季節も美しいです。富士山の横に桜が咲いている、典型的な日本の風景を見ることができます。それから河口湖からの眺めも素晴らしいです。
(他にも言いかけたが、8分経過、ここで終わりです、と切られてしまった。)
A:     Thank you very much. どうもありがとうございました。(退出)

 

●試験を終えて

       試験後は勝手に帰ることはできず、もう一度集まります。試験直後に係の人の誘導で一度廊下の外れに椅子を並べた場所に集められ、そのあと試験前とは違う大教室に移動し、受験番号順に着席します。同じ時間帯の人が全員そろったところで合格発表の予定などの説明があり、その後に解散しました。
       建物全体は暖房がきいていて乾燥していました。試験中のどの渇きがひどかったので、終わった後に廊下の外れに集まった時に飲み物を含もうとしましたが、ここでの水分補給は不可でした。教室に入ってからは可です。
       試験内容は、会場までどうやって来たかなどの事前質問は一切なく、すぐに最初の通訳に入りました。受験番号を聞かれるとは思いませんでした。1次合格の時の番号を言わなければいけないのか?と一瞬ひるみましたが、首から下げている番号でいいのだろうと判断し、札を手に取って見せながら番号を言いました。
       通訳はCELの2次講座で扱った文章と同じくらいの長さでした。和文以上のことを言ってもよいのかどうか自信が持てませんでしたが、何だか短く終わってしまったので、多少付け加えました。
       昨年まで聞かれていた「どんな通訳ガイドになりたいか」という質問はなく、日本語での質問はありませんでした。通訳、スピーチ、Q&Aだけでした。
       富士山は自分として最大のヤマを張っていたので、3枚のカードの一番上に富士山を見た時は嬉しかったです。「誰かは必ず富士山を聞かれる」と曽根先生のセミナーで伺いましたが、まさにそのとおりでした。
       9月に何とか時間をやりくりして富士山実地研修に参加させていただき、その時に手に入れた冊子を1週間前に通読していたので、ネタには困らないつもりでした。しかし試験の緊張感で、古くから信仰の対象であること、北斎の浮世絵など芸術作品も多くあることは、言い忘れてしまいました。世界遺産を言っただけで精一杯でした。時間さえあればもっと自分で納得のいく内容にできたのに残念です。
       スピーチ後の質問は、予め用意した質問というよりスピーチの内容に沿った質問でした。富士山の高さは、最初からスピーチに入れておくべきでした。準備30秒間では構成を整えるまでできませんでした。言い忘れた内容に気づいても、Q&Aの自然な流れを妨げるような事を突然言うのは良くないと思いました。
       8分は非常に短い時間であり、言いたいことのうちのごく一部しか言えません。スピーチ2分にしても全体8分にしても、キッチリ切られてしまい、言いかけていた文を最後まで終えることもできませんでした。余分に時間を与えてその分加点したのでは不公正になってしまいますので、当たり前なのですが。
       午後の遅い時間なので大幅に後ろに時間がずれることも予想していたのですが、そのように時間管理が厳しいためか、予定通りの時間で終わりました。 また、very beautifulとか、ありきたりで幼稚な表現ばかりになってしまったのが反省点です。多彩な表現を使う余裕がありませんでした。
       笑顔、アイコンタクト、身振り手振りは、いくら心がけても緊張感のせいでできなくなってしまうのではと試験前は不安でしたが、大丈夫でした。試験官はお二人ともにこやかで、圧迫感はありませんでした。
       富士山は自分にとって最大のヤマだったので即座にこれに決め、他の2つのトピックはちらっと見ただけなので、実は何だったかよく覚えていません。
       服装は、CELセミナーで華やかな色が良いと伺ったので、黒やグレーは避けました。冬なので明るい色はなかなか難しいのですが、着慣れた手持ちの服の中から明るいベージュ系のスーツを選び、水色のスカーフとポケットチーフを差しました。顔色が良く見える色を事前に研究し、髪も切りました。手元が引き立つよう指輪もしました。
       会場では、女性受験者は「通訳の制服」のような黒いパンツスーツの人が多かったです。きちんとした印象ではありますが、こうも多いと没個性に見えて損なのではと思いました。和服の人も何人かいました。会場は暖房がきいているので、調節できる服装が良いと思いました。
       1次試験は非常に心もとない点数だったにもかかわらず奇跡的に突破し、風邪もひきましたが回復して体調は良好、当日は遅刻もトラブルもなく会場まで来ることができました。2次試験の場にこうして参加できること自体に、大きな感謝をして臨みました。最大のヤマが当たったのに不合格だったら、自分が通訳ガイドを目指していること自体を疑問視しなければならなくなり、結果を見るのが不安ですが、とにかく終わってほっとしています。致命的な失敗はなかったと信じています。静かに結果を待とうと思います。

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