通訳ガイド(通訳案内士)2次試験レポート

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受講生47

(1)試験会場到着から試験室入室までの手順

試験会場:昭和女子大学
12:20頃に到着し、自販機が数台置いてあるキャフェテリアのような場所で待機。コンビニで購入したおにぎりを食べました。(ちょうど一つ前の時間帯の受験者に呼びかけが行われていました。)
13:00-13:25 が指定された受付時間でしたが、12:45に案内が始まりました。エレベーターで上の階に移動して受付を済ませると、番号の入った名札をもらい首から下げました。受験票、合格通知、身分証明書は名簿と照合後は不要でした。大教室で着席して次の指示を待ちました。
名札には「○-△」と書かれていて、面接室○で受ける△番目の受験生という意味でした。その後、同じ枝番の受験生ごとに直前待機室に案内されました。30分位は待っていたでしょうか?「□-△」の受験生達がフルネームで名前を呼ばれ、面接室へ移動。まだ前の受験生が終わっていなかったので、廊下の椅子に着席して待ちました。5分位は待っていたと思います。
前の受験生が退室し、少したってから日本人試験官の方から、「お入りください」と言われました。他の部屋では「Please come in.」と言っているのが聞こえました。

(2) 試験官の性別、推定年齢、(外国人面接官はアクセントから判断して)国籍

外国人:50代後半から60代初め位の大柄な男性。イギリスやオーストラリア出身でないことはわかりました。アメリカ英語のアクセントもなく、ドイツやロシア、東欧など、ヨーロッパ出身の方かもしれません。
日本人:50代位のメガネをかけた小柄な女性。きびきびとした印象を受けました。

(3) 自己紹介等のウオーミングアップのやり取り

N: Can you tell us your name and where you are from?  I am________.  I’m from________in Tokyo.と答えました。
その後すぐに日本人試験官から通訳のインストラクションがありました。

(4) 通訳の日本文

岐阜県の白川郷に見られる合掌造りは、雪の多い地域でよく見られる建築です。急な傾斜の屋根は、雪が滑り落ちて雪の重みで家がつぶれないための工夫です。

(5) 英語訳の再現

日本人試験官の方の読むスピードはnatural speedでしたが、メモをしっかり取るには速く感じました。そこで、大意を訳すことを心がけました。
Thatched roofs can be seen in Shirakawa-go in Gifu prefecture because it has a lot of snow in those areas.  Shirakawa-go is a typical example of the thatched roofs.  Heavy snow might (canの方が適切でした) break the houses, so the steep roofs (この時にlike this と言いながら両手で合掌造りの屋根の形を作りました) can avoid the snow.
あまりほめられた通訳ではありませんでしたが、合掌造りの屋根の形についてジェスチャーを使えたことだけが良かったです。つたない訳をなんとかカバーしたいという気持ちと、江口先生が授業で、曽根先生が二次対策セミナーで、Dan先生が模擬面接でジェスチャーの効用をくり返しアドバイスしてくださっていたおかげです。
また、試験官の方が頷きつつ、一生懸命聞いて下さっていたので少し安心できました。

(6) プレゼンテーションの3つのトピック

1.高野山
2.厄年
3.日本最大の木造建築
カードの束を渡された時に一番上にあったのは「高野山」、一般的な情報しか知らないので、次のカードへ。
「厄年」、これは気になっていたトピックでした。先月明治神宮に行った時に外国人観光客の方が厄年のパネルの前で日本人ガイドさんに「これは何?」と聞いていたのに遭遇したばかりだったからです。「しまった!」と思いましたが、あとの祭りです。男女それぞれの厄年が何歳だったのか、具体的な数字を覚えていなかったため説得力のあるスピーチはできないと思い、あきらめました。
最後のカードは「日本最大の木造建築」。最古の木造建築、奈良の法隆寺ならすぐにわかったのですが、最大の木造建築が思いつかず、断念。
まさかの消去法で「高野山」を選びました。トピック選択の残りの時間で、CELの地理・歴史の授業を思い出しながら、スピーチの内容を考えましたが。が、起死回生のアイデアが浮かぶわけもなく・・・。
「始めてください」の合図があり、もう開き直るしかないなと思いました。

(7) 選択したトピック

高野山

(8) プレゼンテーションの再現

I’d like to talk about Mt. Koya.
Mt. Koya is located in Wakayama prefecture.  It is regarded as a religious mountain, where one of the Buddhist sects, Shingon sect was establishied by Kukai.  From ancient times it has been admired (reveredを使うべきでした) by people.
正直なところ、もうこの時点で私の持っている情報は出し尽くしている状態でした。あとから冷静に考えると、比叡山の延暦寺、最澄の天台宗について語っても良かったのですが、その時は思いつきませんでした。
続いて、真言宗が修行(religious training)に重きを置いている点に触れたと思うのですが、極度の緊張でその後の記憶がほとんどありません。
そうこうしている内に、一分経過のコールがありました。何とか一分間は話し続けられたようです(笑)。でも、ついにネタ切れになってしまったので、これ以上同じことを繰り返しても印象が悪くなるだけだと覚悟を決めて、まとめに入ることにしました。最後に以下のように話しました。
In recent years, Mt. Koya has been very popular among not only Buddhist followers but also ordinary people.  Unfortunately, I’ve never been there, so as a tour guide I’d like to show foreign tourists around Mt. Koya in the near future.  Thank you.
「どうか1分30秒は話せていますように」と祈るような気持ちで終了しました。

(9) Q&Aのやり取りの再現

N:Could you tell us more about Shingon sect?
私:(せっかく覚えたはずの密教esoteric Buddhismという単語も浮かばず、ひたすら修行を強調してしましました) Kukai also established the pilgrimage of 88 temples in Shikoku. と四国のお遍路についても言及したところ、「Oh!」と言って反応が良かったです。
N:At Mt. Koya, are there many small temples? Or only one temple? (後から思えば、この質問は金剛峰寺を答えさえるための救いの質問だったのですが、その時は、どうしても金剛峰寺の名前が出てきませんでした。)
私:In the middle of the mountain (正確には山の頂上?), there is one big temple.  It is surrounded by a deep forest. (と答えざるを得ませんでした。)
N:What else would you say about Wakayama?
私:(おそらく白浜温泉や熊野古道を想定しての質問だったのですが、情けないことに果物のミカンしか浮かばず)Mandarin oranges. Wakayama is one of major orange producing countries.
N: (高野山の質問から離れて、他のトピックについて) How about your 厄年?
私:Fortunately, nothing happened to me, but some people might be concerned about 厄年.
N: (彼らは厄年をどのように過ごすのか?という意味の質問)
私:They try to keep themselves in good condition and drive off evil spirits. ( ここで神社でのお祓いを言えれば良かったです)
N::Where would you like to take foreign tourists in Tokyo today? 
私:(ちょうど皇居の紅葉が見頃で限定公開していたニュースを思い出し)I‘d like to take them to the Imperial Palace. A part of the palace is open to the public.  It’s coming to the end today, though.
この答に試験官のお二人も思い出したように「Oh!」とおっしゃっていて、喜んでくださっていたのがわかりました。面接の中で一番和やかな瞬間だった思います。
N: Final question.  Why would you like to be a tour guide?
私:(この質問を聞いてくださるとは思っていなかったので、嬉しかったです。すぐに曽根先生の)I love Japan.(が自然に出てきて)  We’ve been living in harmony with nature.  I’d like to introduce foreign tourists some aspects of Japanese sense of beauty. (と語っていました)
N: Sorry, we’re running out of time.  You can relax now. (私が相当緊張していたのが伝わってしまったようでした)

(10) 日本語での質疑応答の有無

ありませんでした。

(11) 試験終了後のやり取り

ありませんでした。

(12) 終了後、退出してから解散までの手順

Thank you. ありがとうございました。
とお礼を言って、最後にHave a nice day! と言うこともできました。

(13) 全体を通しての感想など

一言で言えば、厳しかったです。試験官を楽しませるような面接が理想でしたが、ほど遠い出来だったからです。
特にスピーチについては、攻めの戦い方が出来なくて本当に残念でした。色々なトピックを想定して準備したつもりだったのですが、割り当てられた三つのトピック全てが予想外で、まさに「どうしよう!」という追い詰められた状態になっていました。そのため、個人的なエピソードも全く入れられず、とても内容の薄いスピーチになっていたと思います。
ただ、そんな中でも何とか最低限のことができたのは、江口先生がクラスで「途中であきらめてはいけない」とおっしゃって下さっていたおかげです。模擬面接でも、二巡目は他の方が選ばなかったトピックを選ぶことになっていたので、苦手な話題でも話をする経験をしていました。それが本番でも生きたと感じています。きっと一年前の自分なら、何も話せずに沈黙してしまったに違いありません。
今回の面接を通して、ガイドは日本に関するどんなトピックでも話ができないといけないことを、痛感させられました。今後も真摯に日々の努力を重ねていく必要があると思います。たまたま試験二日前(!)BSプレミアムの「新日本紀行」、「高野山」を録画していたにもかかわらず、余裕がなくて見ることができなかったのが悔やまれました。やはり何が役に立つのかわからないので、日々の生活の一つ一つの経験を大切にしていかなければならないな、と感じています。もし運良く試験に合格できたら、「高野山」はぜひとも行きたい場所になりました。
CELの先生方、事務の方々、ガイド試験の勉強を支えてくださり、本当にありがとうございました。心から感謝しています

 

 

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